part7
「あのさ、こいつ連れてくからよろしくな」
「「…………」」
二人は黙ったまんまだった。
そしてもうひとり、俺の背中に隠れている女の子も黙ったまんまだ。
ここは俺が話すしかないようだ。コミュ力の低い俺が!
「まだ状況を理解できてないようだから言うけど、こいつはこれから俺たちと、えっと……俺たちの仲間になったからっ!」
無理やり押し切ったが、さっきとほとんど同じこと言ってた……。
「は、い? それはわかりましたけど、どうしてずっと隠れているんです?」
裕太が言ったとおりそうなのだ。こいつらを見た瞬間から少女はずっと俺の背中にしがみついて隠れているのだ。
「お、おい。顔見せとけよ。これから仲間……一緒に行動するんだから」
声をかけると少しばかり顔を出したがすぐに引っ込んでしまった。
なぜだろう……、と考えたがすぐにわかった。
星歌が怖い顔をしてこちらを睨んでるのだ。
「……どうしたんだ星歌」
「…………」
俺が声をかけても返してこないし、睨むのもやめない。
――俺、何かやらかしたかッ!?
必死に思考を巡らすがまったく思いつかない。
仕方がないけど、聞くしかないな。
「俺、なんかした? 睨まれててすごく怖いんだが」
「……後ろの子誰? 付き合ってるの?」
言葉の節々に刺があったが答えてくれた。……付き合ってるか?
「別に付き合ってないけど」
俺が答えると星歌はふぅー、と息を吐いた。
「それがどうかしたのか?」
「べっべ、別にどうもしてないっ!」
ふんっ、とそっぽを向いてしまったが、取り敢えず大丈夫だろう。
「お前もいいか、裕太」
「僕は全然構いません。ところで名前はなんていうのですか?」
「そういや俺も聞いてなかったな。ねぇ、名前何?」
「私、川上翠。十六歳」
お、俺たちと同い年か。
「よろしくな、川上」
仲間になるのだから挨拶は必要だよな。
と思ったのだがぶんぶん、と首を振られてしまった。
「川上じゃいや。翠って呼んで」
あ、なんだ。挨拶を嫌がられたと思った。いくらぼっちだった俺でもそれはきつい。
「わかった。よろしくな、翠。俺は羽島達也。俺の方も達也って呼んでくれて構わない」
「うん、よろしく達也!」
「僕も、よろしくお願いします。僕は七竈裕太って言います」
「うん、よろしく七竈くん」
「…………」
なんか、納得がいってないような顔をしてる。まぁ、ほっとくとして……。
「お~い! 星歌ぁ、お前も自己紹介しろ~」
いつの間にか結構遠くに逃げていた星歌を呼ぶ。
すると、星歌はこっちこっちと手招きしていた。
「なんか見つけたみたいだな、行ってみよう」
達也は裕太と翠を促し、星歌のもとへ駆け寄った。
「どうしたんだ?」
「しっ!」
星歌は口元に人差し指を立てた。
そしてその指である方向を指した。
俺達が立っている場所はちょうど大通りから一本隣の路地のような場所だ。そして星歌が指しているのはその路地から大通りに出るための道。何かあるのか?
壁に隠れながら大通りの一部を見てみる。
そこには先程の銀行強盗と複数の男どもがいた。
「あ、あいつ何してんだ。てか忘れてたな」
のんきに構えていた達也はそのとき起こったことに目を疑った。
強盗の男が、首をはねられていた。
このゲームでは血が出ない設定になっているが、それでも吐き気がした。
「うっ、…………さいてー」
口元を押さえながら星歌がつぶやいた。
「とりあえず、ここを離れよう。俺たちも見つかったらどうなるか……わかるな?」
「「「…………うん」」」




