心亡〜屋上と下界〜
またまた、出させて頂きました、心シリーズ!今回は暗いような感じですが、ちょっと・・・って感じです(わからんって!)では、このまま見て頂けたら幸いです。
ここから一歩踏み出せばゲームをリセットできる?
ここから一歩踏み出せばゲームオーバー?
さて、
私が進むべき路は・・・?
「いこうか?」
「・・・そうですね」
外は真っ赤な夕焼けが上空を覆い、この時間特有の匂いが辺りを包む。広い広いグランド。人々が運動をして遊んでいる
室内には二人だけ
私とこの子は世間一般に言うと先輩と後輩。けど私は彼女のことは同じ思いを持つ同士だと、友人だと思っている。
向こうはどう思っているかはしらないが・・・
私たちはとある街の私立校の学生。
自分達を取り巻く全てに嫌気がさして此処にきた。
全てというと、親やら教師やら友達と名ばかりの他人。
簡単に言ってしまうと、私と彼女以外の人間。
偉そうに説教をたれる大人達やありもしない未来を説く政治家達
表面上の付き合いだけで友人だと言い切る人たち。一言も内心を話したことはないのに
どんなに嘆いて喚いても周りは気付かず、気付いていても気付いていないふりをする
そんな他人に嫌気がさした
私たちが来たのは自分達の学校の屋上
この場に来るといえばやることは決まっている
柵を乗り越え屋上の縁に二人で手を繋ぎ、立つ
繋いだ手は汗ばんで震えていた 何故ソンナニ緊張スルノ? 私が思ったのはただそれだけ
もしかして下界で騒いでいる者達に何か考えているのだろうか?
ちゃんと手紙も書いてきた、もう靴は柵の内側に置いてきている
決心はとっくについていた
ついていたはずだった
彼女が一言いうまでは
「この一歩を踏み出せば全て終わらせられるんですよね?」
「・・・そうだよ。嫌な者達から離れられるよ・・・」
「じゃあ、先輩とも会えなくなってしまうんですよね?先輩と一緒に、毎日やってきたことが一つも出来なくなってしまうんですよね?」
「・・・そうなるね」
私たちはその場からゆっくり動く。柵をもう一度乗り越え、そろえられた靴を履き。手紙をポケットのなかに突っ込んだ
一度置いていった靴は思いの外冷えていて、自分達が何時間もあの場に立っていたか自覚するには十分だった
階段を下りるとき横に並んで一緒に歩いている彼女は泣いていた
顔を直接見ることは出来ないけど
多分泣いていた
「私には先輩しかいないんです。会えなくなるなんて耐えられないです。無理です。ずっと一緒に居たいです」
彼女のその一言で私の決心は鈍った
いや、
実際、私の決心は脆かったのだろう
彼女の一言で決心が鈍ってしまうほど
ここから一歩踏み出せばゲームをリセットできる?
ここから一歩踏み出せばゲームオーバー?
さて、
私の進むべき路はあれから進路を変えた
彼女のために生きるという路に