表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狂愛  作者: AGEHA
1/12

第1話

はじめましてAGEHAです! 以前、魔法のiらんどという所で小説を書かせていただいていた事がありますが書き方は初心者並みだと思います。誤字、脱字、文章がおかしくなっていた、などあったら柔らかく注意してくださると嬉しいです。

『……メ……』

 

 誰かの声、綺麗な満月、

 それに反射する鏡、時計。

 

 そして……血。

 手が、伸びてくる。



「……っきゃ……ぁ……!」



 ……また、この夢だ。

 

 毎夜毎夜小さい頃から見る夢は、未だに続いていて――――

 お陰で私は今日も寝不足。……でも、最近は少し違うんだ。

 今までは時計の針がぼやけて見えなかった、なのに最近は深夜一時を指していて。

 

「……なんでだろ……」

 

 深夜一時に何があるの? いつも見る私の夢は何かの暗号?

 ……って、そんな訳ないけど。

 

 私は斎藤柚姫(さいとうゆずき)、十五歳。

 性別は名前の通り女。

 

「……おはよ、お母さん」

「あ! おはよう柚ちゃん!」

 

 低血圧な私は、いつもこんなひっくーいテンションであいさつ。

 階段をフラフラと歩きながら目を擦る。

 

「ねぇねぇ柚ちゃん、今日の朝ご飯はパンでもいーい?」

「いいよ」

 

 どっちでも……。コーヒーさえあれば。

 朝は必ず20分間ぼーっとしてご飯食べて、準備してコーヒーを飲んでやっと眠気が覚める。

 これが私の日常。今日もコーヒーを飲み終わりいつものテンションに戻る。

 

「――じゃ。 行ってきまーす!」

「行ってらっしゃい柚ちゃん! 気をつけてね~」

 

 元気良く家を飛び出すと毎朝待ってくれている人に声をかけられる。

 親友の田中沙希(たなかさき)

 

「おっはよー柚!」

「はよ~沙希」

「昨日のMステ見たぁ!?」

「見た見たっ! ニナちゃんとかでしょ?」

 

 こんな他愛もない会話をして、何気無い日々を過ごしていた。

 私は至って普通の女の子。ただ年齢=彼氏居ない歴なだけで……だけってそれが難題でもあるんだけどッ


 なのに、なんで私がこんな事になった? ただ普通の女子高校生として過ごしたかっただけなのに――――

 

 ……説明しましょう。

 昨日の夢を気になって確かめようとした私は、深夜一時まで起きていて、鏡の前に座っていた。

 

 ――

 ――――

 

「……ねむ……」

 

 大きな欠伸をする。

 でも……絶対ただの“私の夢”っていう事を確かめるんだから。

 薄暗く、満月の光しかない部屋に時計の音だけが鳴り響く。

 

 カチカチカチ……

 

 緊迫感に包まれる雰囲気の中

 

 カチッ

 

 時計は一時を指した――――

 ……でも、

 

 シーン

 

 …………。

 

 やっぱり

 

 やっぱり何も無かった。私の夢だったんだ。時計を見ながら安心して、思わず安堵のため息をつく。

 ……でも顔を上げて鏡越しに見た時に私の瞳にうつったものは、一番見たくないものだった。

 

「ヴァン……パイア……?」

 

 満月をバックにした綺麗な横顔。

 窓から入ってくる風のせいで銀色の髪が揺れているのが分かった。よく見ると口元には血がついていて。

 

 これも夢だよ……きっと。

 そう思い込む事に私は専念した。

 

「そう、よく知ってるね」


 ヒメ? と彼は悪戯っぽく付け足した。

 ……ヒメ……。確か夢の中でもそう呼ばれていた。

 

「ヒメってな……」

 

 そういいながら後ろを振り向くとそこには人が居なかった。

 

「何してんのヒメ、行くよ」

 

 突然耳元で甘く囁かれる声に、思わずビクッと反応する。

 

「耳、弱いの?」

「……っ……」

 

 妖艶に笑って上げる口元には、さっきも見た血がついていて。

 ……思わず動揺した。

 

「……じゃしっかり掴まってて」

 

 ふわっと持ち上げられて何かに吸い込まれる様な感覚。

 

「……え」

 

 ……?

 

 ここ……今さっき私の部屋……だったよね……。

 なんで何もないの……!? それに、真っ暗――――

 深い深い闇に堕ちていく感覚に、私は陥った。隣には知らない人、じゃない……知らない――化け物。


「……い、いやああぁぁ!!!」

 

 私は出来る限りの声を張り上げ、叫んだ。

 だけど隣に居る化け物は、まるで私の声が聞こえてないかの様に平然としていて。

 

「じゃーまたね♪ ヒメ」

 

 そう言って降ろされた所は

 遠くに城の見える何も無い草原だった。

 

 ――――

 

 ――というわけで現在に至る。


 …………。

 

「……ってそんな冷静でいられるかあぁぁぁ!!! 誰か人居ないの――――!?」

 

 っていうか……なんで置いてくのさ……。

 もの凄い速さで走ってったし、やっぱ人間じゃない……。

 不安になってギャーギャー叫んでいると背後から足音が聞こえた。

 ……人!? という微かな希望はこの一言で呆気無く消えた。


「人はいませんけど“ヴァンパイア”なら居ますよ」


 ……うん、分かってた。人が居ないのなんて当たり前のこと。こんな奇妙な所に人なんて――――

 あれ……? なら……なんで私はここに連れられてきたの……?

 

「それは貴女が“ヒメ”だからです」

 

 ……この人エスパー? ……てか

 

「どうして私なの?」

 

 連れ去られる時にあの人も確かに呼んでいた、ヒメって。

 

「そ、それは……お城に着いてから説明します」

「あ……そう」

 

 ?

 

 なんか……焦った?

 どっちにしろ分かるんならいいけど。

 

「てゆーか! 自己紹介して無かったよね? 私、斎藤柚姫! 貴方の名前は?」

 

 どうせこれは私の夢。

 

「僕はロイです」

 

 夢なら思いっきり楽しめばいい事じゃない!

 

「宜しくね! ロイ!」

「宜しくお願いします」

 

 ……

 

「……ねぇ敬語じゃなくていいんだよ?」

 

 いくら年下でもねぇ……敬語はちょっと……

 

「あ、すみませんっ……つい癖なもんで。これから気をつけます」

「だーかーらー!! 今も敬語になってるんだってば!」

「……っあぁぁ! すみません! もう大丈夫だと思う!」

 

 そう言ってロイは焦りながら笑い、頬を赤らめる。


 ……どうしよ……可愛い……。

 襲っちゃいますが……!

 

 ……れ、冷静になれ私……。

 

 既にロイに掴みかかろうとしてしまっている自分の手を止め、ほっぺたをパンッと叩き平然を装って聞く。

 

「なっ、なんでそんなに急いでるの?」

「それもお城に着いてからです! それより早く行きますよ、ヒメ」

 

 ……返事早ッ! 

 ヒメって呼ぶのやめてって言いたいんだけどあまりの剣幕に言いだせない。

 てかまた敬語に戻ってるし~……。

 

 グチグチと心の中で文句を言った後、ふっと笑う。



 ……それにしても

 瞳はスカイブルーみたいな色で肌は真珠みたいに真っ白。

 髪は銀色で後ろに一つで束ねていて……。

 

「着きましたよ」

 

 そう言ってロイはクルリと回って私を笑顔で見てきた。

 

 ……やっっぱりやばいっ! 超可愛いっっ!! どうしようっもうっ!

 一回目の人はカッコいい感じだったけどロイのはヤバイ! 私のツボをおさえてる!


 思わず壁をがんがん殴りつける。

 

「何してんですかヒメ……早く入りますよ」

 

 ……うん、ごめんね興奮しすぎたよ。

 でもこうも一瞬で変わられると……哀しくなっちゃうな……おねぇちゃん……。

 ……しばらく、意気消沈(いきしょうちん)してていいですか?

 

「……はぁぃ……」

 

 ――バタン――

 

 重い扉を開けると同時に上がる歓声と無数の花びら。

 明らかに『気合入れました』というドレスを着ている人や、煌びやかに光るパンプス。

 それに、スーツの人まで……。

 

「……ろ、ロイ……なにこれ……?」

「すべて貴女が来た事でのお祝いですよ」

 

 ニコッと笑いながらロイは言う。

 

 ……え……?

 私が来た事がそんなにもめでたい事なの?

 

「やっと来たのね? 待ちくたびれたわ」

 

 だれ?

 上品なドレスを身につけていて

 髪は金色のふわふわなロング、瞳はピンク色――――まるでお姫様みたい。

 

「失敬。私はキャメロンよ」

「……あ……っ私の名前は――――」

「あぁそれなら大丈夫、分かってるわ」

 

 私の言葉を(さえぎ)って言ってきたキャメロンさん、と同時に言ったロイ。

 

「「ヒメ」」

 

 ……え……。

 

「貴女の名前はこの世界で名乗らなくていいわ。ヒメだと決まっているから」

 

 な、に言ってるの……?

 この人……。

 

「……ち 違います……っ私の名前は斎藤ゆず――――」

「いーえ違わないわ。向こうの世界での貴女の名前は決して名乗っては駄目」

 

 ……なんで。

 

「ヒメはヒメでしかないのよ」

 

 ……何、なんなの私は柚姫だよ?

 ヒメとかそんなのになった覚えは無い。

 

 ……そうだ。

 

 これも夢なんだ……。

 夢にきまって――――

 

「夢 ではありませんよ」


 ロイが無表情で私を見つめて言う。

 

 夢、じゃない……?

 なら何……。

 

「全て現実です」

 

 ……現実? この意味の分からない世界が?

 

「……あはは……冗談でしょ?」

「こんな時に冗談を言うと思いますか?」


 そう言いながらロイは私の瞳を真っ直ぐに、射抜く様に見る。


「……あ、りえない……信じれるわけないじゃん……」

 

 こんな世界あるわけない。冗談だ。

 だってこれは私の夢だったんだよ?

 

「……そういえば僕言いましたよね。僕が急いだ理由と、貴女が選ばれた理由を説明すると」

「……え、あ……うん……」

 

「僕が急いだ理由は分かりますよね? こうやって待っている方々が居るからです」

 

 ……それはなんとなく分かっていた。

 

 けど

 

「……私が選ばれた理由は?」

「それは――――」

 

 ――バタン――

 

 そうロイが言いかけていた時

 扉が、開いた。

 

まずここまで読んでくださってありがとうございます♪

これからの話に向けてあたたかく見守って下さい!


評価、感想、お気に入り登録、宜しければレビュー等心よりお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ