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上陸阻止

デビル・ドッグズ

1500

アメリカ合衆国

 アメリカ東西の海は、正体不明船舶は領海には入っていたが、海軍と空軍による攻撃で日本とは違ってすぐに対処できたという。勿論、アメリカにも戦争権限法や議会の承認など、軍事行動に対しては様々な法などがある。しかし、排他的経済水域(EEZ)に侵入し、領海を侵入の恐れがあることを大統領に伝わった後は、とても迅速だった。

 陸海空軍海兵隊、宇宙軍に対して準備を命令し。警戒監視していたアメリカ海軍や空軍に対して議会の承認をなしに、大統領は攻撃を命令した。

 そして、アメリカ合衆国国内だけでなく、韓国、ヨーロッパなどに派遣されている軍隊に対して、戦闘に備えるように命令した。

 陸軍や海兵隊は、沿岸地域や主要都市に部隊を展開。

 海軍は海上において、警戒監視。

 空軍においては、空の警戒監視と陸海軍、海兵隊の支援。

 宇宙軍は、全軍の支援。

 沿岸警備隊は、海軍や海兵隊の支援や、国民の避難支援などを担当。

 一方で、日本に駐留する部隊。日本に敵は既に上陸しているということが伝わっている。

 これは、なぜかホワイトハウスの人間や国防総省、軍など、一部の高官らの人間のみ伝達された。

 国民は、自国が脅威にさらされていることは知らされてなかった。

 そもそも、アメリカの近くに落ちた落下物が、正体不明の船舶に変わったこと。それが自国に近づいていることも知らなかった。

 理由としては、軍隊が動いて素早く攻撃をし、マスコミや民間人が気付く前に圧倒的な戦力で倒したため。日本や違う国が、正体不明の船舶となり攻撃を受けたことなどは、テレビやSNSで知ることができた。  

 しかし、自国が攻撃を受けるような情報はなく、軍隊も大きく動く姿もなかった。また、何かあれば軍隊がなんとかしてくれる。国家を脅かす存在ではない。

 だって誰も逃げてないから。

 大統領も逃げてないから安全というバイアス(先入観)もあったからだろう。


1200

カルフォルニア州 キャンプ・ペンドルトン海兵隊基地

 基地の食堂には、海兵隊の隊員達が集まっていた。

 アメリカ海兵隊第1海兵師団第1戦車大隊に所属する軍曹は、同じ部隊の隊員と共に席に座って食事していた。

 訓練で疲れて、空腹だった。

 しかし、いざ食堂に入ってからトレー、バイキングのようになっているパートでサラダやスープを取ってから、メインを選ぼうとした時に一気に食欲がなくなった。

 とても豪華だった。ステーキやロブスター、ケーキなど、今までにないくらいに豪華なメニューだった。

 豪華で良いじゃないかって? 勿論、記念日などで豪華なメニューの時もある。しかし、出撃前の食事も豪華であるのだ。

 恐ろしい。まぁ、食べるが。

 戦車大隊に所属している隊員数名と話しながら食べていると、噂話を始める。

「そうだ、軍曹。聞きました? あの噂。」

「噂?」

「あの宇宙から落下してきたあれ。船みたいになって、こっちに向かっていたらしいんですがね、海軍とかが倒したようですよ。」

「本当か? 知らなかったな。」

 そもそも訓練でニュースなどを見る暇もなかったからな。

「あ。でも、幹部とかは呼び出されてたな。」

 「訓練中。大隊長や、海兵隊での階級が佐官クラス以上は呼び出しがあったようだった。」

 「食事が豪華になっていること。幹部が呼び出されていること。」

 ......嫌な予感しかしない。

 そして、3時間後。

 招集された。

 命令を受けて、戦車に乗り込む。

 命令は、カルフォルニア州サンディエゴの最北端、オーシャンサイド・ハーバー・ビーチにて待機。それだけだった。詳しい情報と命令は到着後に伝えるそうだ。

 

1500

オーシャンサイド・ハーバー・ビーチ

 オーシャンサイド・ハーバー・ビーチは、カリフォルニア州サンディエゴの最北端に位置する。2つの防波堤に挟まれた穏やかなビーチ。周辺にはハーバー()があり、クルージングや水遊び、サーフィンが楽しめて、家族連れや観光客で賑わう人気スポットである。

 そんなビーチに、輸送トレーラーで運ばずに、自走で戦車で移動してきた戦車隊は驚きを隠せなかった。

 穏やかなビーチが、鉄条網や土嚢などができていたり、機関銃陣地や戦車がスタンバイできるような陣地構築がされていたり、周辺の建物や道路などには指揮所などの設備が設置されていた。

「マジか......。」

 取り敢えず、言われた通りだ。

 陣地に入り、待機する。

「俺達は。何と戦うんですかね。」

 車長である自分の隣に座る装填手がボヤいたことは、この場にいるほとんどの海兵隊が思っていた。 

 海を見れば、海軍の艦艇2隻やヘリがいる。陸軍や少ないが、州兵の姿も見える。

 それこそ、戦争のようだった。

『こちらCP。各員に伝える。』

 指揮所からの連絡は、このビーチにいる全員に伝わった。

 まずは、海と空でなにが起きていたのか。

 日本などで起こっていたこと。

 俺達の役割と、作戦。

「......司令部は馬鹿なのかよ。重要なことはもっと早く言えよ。」

「基地で、幹部が集められていたのは、防衛の作戦のことを伝えるため?」

「そうだろうな。見ろよ、地雷や機雷を設置している。気をつけないと、このビーチを観光できるのはいつになるのか分からないぞ。それよりも、その機械生命体? まるでエイリアンやジャパニーズアニメのようなロボットが敵らしいが、どんな姿なんだ?」

 CPからの命令は、ただ一言。

『正体不明の敵の上陸を阻止しろ。』 

 敵が、どのような見た目なのかも分からないまま。

 防衛陣地にいる戦車隊以外にも、他の車両や隊員達が恐怖に包まれた。

 俺達は、何と戦うのか。

 ちなみに、海軍は艦隊を編成しており、海上やその上空を警戒している。空軍は、陸軍や海軍、海兵隊を支援できる飛行隊をこっちに寄越しているらしい。

 そう、()()()

「ん? あれ、なんですかね?」

「?」   

 空を見た。晴れている空に、複数の光っている何かが、落ちてきていた。

 まるで、あの日。正体不明の船になった、あの物体のように。

 そしてそれは、目の前の海に複数落下した。巨大な水柱が上がっていく。

『総員、警戒。』

『各車。警戒、弾種徹甲弾、用意。』

 大隊長、中隊長経由で命令がくる。

 装填手が徹甲弾−APFSDS弾を装填する。

 戦車だけじゃない。第1海兵師の団第1海兵連隊に所属する隊員達が各自それぞれの武器を持つ。M27 IARを構えている隊員。M249、M240、M2ブローニング重機関銃といった機関銃を用意する隊員。スナイパーライフル、ジャベリンといった火器を持つ隊員。

 一体感が、不思議と伝わる。

Semper fi(常に忠誠を)delis.」

 自然と無意識に呟いた。

 これから行く道が天国だろうが、地獄だろうが、関係ないさ。

 遠くからでも見えるような巨大水柱が消えると、これまた巨大な船が数隻現れた。大きさは、まるでアメリカ海軍の空母だった。禍々しい色で、圧をかけているように感じる。

「あれが、敵だ。」

 そして、その船から何かが出てきた。

 まるで、それは......。

「アムトラックとか、ホバークラフトみたいだ。」

「俺達の上陸作戦の手段みたいだ。」    

 アムトラックは、AAV7、水陸両用の装甲車だ。日本の陸上自衛隊水陸機動団にも配備されている。ホバークラフトは、知っている人も多いだろう。日本の海上自衛隊以外にもホバークラフトを配備している軍隊や、民間もいるだろう。

 まるで、その2種のような、それでも巨大なものが接近していた。

 砲手は、迷いなく照準を合わせていく。

 仕掛けられていた機雷が反応し、敵を倒していく。しかし、機雷の数よりも圧倒的に敵の方が多かった。機雷は全て反応し、爆発したのだろう。破壊された敵の間をすり抜けて接近してくる。

「FIRE!」

「ON THE WAY!!」 

 戦車から徹甲弾が発射され、敵に向かう。

 途中から命中を確認するよりも、装填されたら撃つを繰り返していた。その方が効率が良いと思ったからだ。こちらの戦車大隊の数よりも多かったからだ。

「敵が、スモークを展開!!」 

「本当に、俺達の戦術みたいだ。」

 アムトラックのようなものからスモーク弾だろうか。−煙幕が張られて見えなくなる。それでも、射撃はする。こっちにも見える装備を持っているのだから。

「制圧射撃だ!」

 ハッチから出て、車長と装填手用の機関銃を使用する。

 煙幕から敵が姿を現した。

 上陸を許してしまった。

「撃て! ガンナー、俺の指示を無視して撃っていい。何かあったら言うから、何かあったら言えばいい!」

 返事はなかった。

 いや、撃ったのが返事だった。

 ホバークラフトのようなものからは、戦車のようなものや、四足歩行のロボットが出てきた。アムトラックからは、流石に人型ではなかったが、巨大な故にキャタピラなロボットが数台出てきた。

「Fuck!!」

 地雷が反応していくが、地雷処理用のようなロボットや爆弾が降り注ぎ、処理していた。

 そして、ゆっくりと接近してくる。

 人型ではないが、それに似た5メートルくらいの二足歩行のロボットも出てきた。

 後方に陣地構築をしているMLRSや、HIMARS、M777 155mm榴弾砲といったロケット砲や火砲からの攻撃が敵に命中しているが、止まらない。数も減らない。

『海兵連隊の歩兵は少しずつ後退せよ。』

 敵は歩兵には荷が重い火力だ。当然のことではある。

 戦車や装甲車は歩兵の後退を援護するように射撃する。

『おい! 航空支援はどうした!?』

 砲兵の支援はあっても、戦闘ヘリコプターや戦闘機の航空支援がないのはおかしい。ここの陣地に到着した後に、航空支援のことも話していた。なのに姿もないのは変だ。

 こちらにも損害が出てきた。被弾して、後退する戦車や小破や中破しても戦い続ける戦車もいる。

 また、そろそろ徹甲弾も少ない。戦線が保てなくなる。

『左翼側が押されている!!』

『中央側から戦車を!』 

 ピンチだ。

 そんな時に航空支援が到着したらどう思うかって?

 感謝この上ない。

『こちらコンバット2-1及び2-2。これより、航空支援のため君達の管制下に入る。25ミリ機関砲220発、AIM-9X サイドワインダーが2発。AIM-120 AMRAAM、2発。GBU-39が6。』  


第3海兵航空団第502海兵戦闘攻撃訓練飛行隊 F-35B

コンバット2-1

『第1防衛線が突破されつつある。戦車大隊に損害も出ている。至急、航空支援を。』

 ミラマー海兵隊航空基地から飛び立ち、この作戦地域に航空支援機としてきた。

 兵装も、ビーストモードと呼ばれるF-35自慢のステルスを無視して爆弾を搭載している。今回は、対地ミッションでもあるため、この機体は爆弾を搭載している。別の機体には、対地や対艦ミサイルを装備している機体もいる。

 座標は入力済み。復唱して、間違いがないことも確認している。僚機とも確認を終え、目標地点を確認するため高度を下げる。

「......こいつは、ひでぇな。」

『味方と近いですね。』  

「こちらコンバット2。目標地点を確認。味方と距離が近いが、大丈夫か?」

 地上のJTACからは次のように指示してきた。

『構わない! 戦車隊の損害も出てきている! 至近距離でも気にするな、デンジャークローズ。』

「水平飛行中。」

『コンバット、攻撃を許可。』

「了解した。IP到達。攻撃を開始する。デンジャークローズ。」

 爆弾を投下。また、機関砲による掃射を行う。

 後ろから2-2が続いて爆弾を投下し、機関砲で掃射。

 高度を急上昇させて、反転して再度侵入できるようにする。

『コンバット2-1、2-2。ナイスキル。多数の目標を撃破。再度侵入できるか?』

「こちらコンバット2-1。こちらは機関砲が、100発と、対空兵装のみだが、突入する。」

『コンバット2-2は、機関砲150発と、対空兵装のみ。こちらも突入する。』 

 爆弾は全て投下してしまったが、機関砲の残弾があるので再度、攻撃する。

 目標地点を確認。地上のJTACからのレーザーや、スモークを確認。

「コンバット2-1、水平飛行、IP到達。」

『コンバット2-2、水平飛行中。』 

『コンバット、攻撃しろ!』

「コンバット2-1、攻撃する。ガンズガンズガンズ! ガンズガンズガンズガンズ!!」

『コンバット2-2、IP到達、攻撃開始。ガンズガンズガンズ。』

 機関砲の残弾を撃ち尽くした。

 地上の敵はこちらの航空支援で大半を倒したようだ。

『コンバット、ナイスキル!! コンバット、よくやってくれた。後は任せてくれ。』

「了解した。コンバット隊は、補給のため離脱する。RTB。」



1600

第1海兵遠征軍第1海兵師団 第1戦車大隊

「ガンナー、SABOT、エネミーロボット!」

IDENTIFIED(確認)。」

UP(装填)!!」 

FIRE(撃て) !」

ON THE WAY(発射)!!」

 最初のF-35Bの近接航空支援は、超至近距離で敵にはしたくない味方の攻撃を味わった。砂と一緒に。

 F-35Bの航空支援の後には海兵隊のAH-1Zヴァイパーや、空軍のA-10サンダーボルト。陸軍のAH-64Eガーディアン、M1A2エイブラムスなどの増援もあり、的確な指示と連携で敵を倒していった。

 敵の艦艇は、海軍や空軍の攻撃で撃沈させたようだ。

 撃沈したことで、敵の増援も止まり、こちらもとしても、大いに助かった。

『撃ち方やめ。』

 綺麗なビーチには、敵の残骸や空薬莢。破壊された車両や、陣地の一部が広がっていた。

 地雷や機雷が残り、処理が問題になるという点は、気にしなくていいという判断を下された。気にするようなほど、設置数よりも敵の数が多かったから。らしい。

「残弾確認。」 

「3回後退して補給したのに、もう残弾は徹甲弾が6発のみです。」

「撃ち尽くした感じだな。」

 後方支援は思っていたよりも順調に進んだ。敵はこちらの後方支援に対して攻撃しなかったことや、燃料弾薬が多く確保されていたこと。途中で問題なく補給作業も問題なく進んだこともあったからだろう。

 一番驚いたのは、陸軍と海兵隊で、色々と問題が起きると思っていたが、その点も問題なかった。

 経験。ということだろうか。

「疲れた。」

 戦車の中は、主砲や機関銃の空薬莢や、ガス、砂、汗などで溢れていた。

 正直、シャワーを浴びたい。

「腰が痛い。」

 同じ席に座り続けたり、装填を続けていたり、指揮したり。特に、操縦手はいつ指示がくるのかを待っていたこともあり、苦労していた。狭い席で、同じ姿勢。補給時などの移動では、事故のないように気を配るというある意味苦労人だ。

 海兵隊の隊員が各戦車に水のペットボトルを渡してきた。

 できれば、リットル単位のにしてほしかったが。

 ヘルメットを取って、水を飲んで落ち着いたからだろうか、気分が悪くなってきた。吐き気がする。

 おまけに緊張で汗が大量に出ている。服に染み込んでいる。

 戦車の中の環境もあるだろうが、実戦のストレスもあるのだろうな。

『第1中隊、交代だ。誘導に従って、移動せよ。』

「やっとか、くそったれ。ドライバー、後退用意。」

 誘導に従って、陣地後方に移動する。

 陸軍の応援もあり、前線で戦っていた海兵隊と交代して陸軍が警戒をしていく。

 海兵隊は今は戦車の補給だけでなく、戦車に乗る海兵隊員の補給も必要だった。負傷者もいるし、そもそも疲弊していた。

 戦車の整備が行われつつ、弾薬と燃料の補給が行われる。

 その間に、食事とシャワーを済ませる。食事は、なんと某ハンバーガーチェーン店だった。

 ありがたい。

 ベンチに座りながら夕方で、オレンジ色に染まっている空を眺める。

「......これは、長くなるのかな。」

 俺の声は、戦闘機の声でかき消された。 


第1海兵師団


「より善き友、強き敵」

No Better Friend, No Worse Enemy


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