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最初の戦い

「国の興廃、この一戦にあり。各員一層奮闘努力せよ」

 東郷平八郎(連合艦隊司令長官)

「何気ない日常は、実は幸せである。」

 これは俺の持論だ。

 当たり前では?

  確かにそうかもしれない。だが、事故も事件も起こらず、ただ寝て、起きて、美味い飯を食べて、漫画を読むような趣味をして。

 ......まぁ仕事はあるけども。そんな日々が送れるのは、ありがたいんだよ。



 そんな日常が壊されたらどうだろうか。

 事故、事件、災害、戦争や紛争、病気などによって壊されることになったら?


 あの日。火球のような物体が全て海に落下。

 いや、着弾したと言ったほうが当たっているのかもしれない。

 色んな海に着弾しており、数は不明だった。

 主要各国や国際機関、研究機関が調査に乗り出し、落下した物体を調査した。

 だが、結果は同じ。

 不明。

 一つ判明したことは、人類の知らない存在である落下物だということだけ。

 調査が行われても、一向に何も分からない。正体不明の何かが落下してから2ヶ月が経過したある日。

 突如として落下物が移動を開始した。まるで船のようだった。そしてそれは、近くの国に向かっていた。

 これを受けて各国は軍隊を派遣、監視を続けることになった。

 だが、悪夢の日がやってきた。

 あの落下物が落ちてきた。今回も海だったが、今回は陸地にとても近かった。

 そして、その時だった。落下物やあの船のような物体から大小、様々なサイズで、二足歩行、四足歩行など様々なロボットの怪物が現れ、人類を襲った。

 最初は人類は耐えた。軍隊が懸命の努力で押し返した。多くの犠牲者は出したが、人類は自分達の領土と人々を守れた。

 だが、長くは続かなかった。人類は負けた。最終的には数カ所のシェルターと呼ばれる場所で人類は身を寄せ合った。南極や地下、奴らがいない場所で身を隠した。

 そして、日々軍隊を送り戦った。アニメや映画、ゲームのようなチートアイテムやロボットといった兵器はない。救世主もいない。ただ人類が、各国が領土と国民を守っていた軍隊を使って。軍隊が保有している力で、戦い続けた。

 再び人類が普通の生活を送れるように。

 あの日々を取り戻すために。


 俺が奴らが侵攻してきた時何をしてたかって?

 空にいたよ。

 あぁ、別に死んでいたということじゃない。

 戦闘機に乗ってた。

 F-2A戦闘機。

 ここまで言えばどこの国に生まれて、どこの軍隊にいたか分かるだろ?

 うん、日本の自衛隊。航空自衛隊にいたさ。え? 自衛隊は軍隊じゃない? まぁ、今はロボットと戦っているのだから細かいことは気にしちゃいかん。

 


人類敗北の日


1200

日本 航空自衛隊百里基地

 航空総隊隷下中部航空方面隊に属している第7航空団。司令部は百里基地に所在。主に関東地域の領空に接近・侵入してくる国籍不明機に対しての対領空侵犯措置を担当。そして、首都圏防空の中核を担う戦闘飛行隊であるのが第3飛行隊。

『正体不明の物体が落下してから2ヶ月。船のような物体が突如として動き出し、現在日本の領海に侵入しつつあります。現在、海上保安庁と海上自衛隊が警戒監視をを続けています。現在、日本政府は海上警備行動を発令していますが、防衛出動も視野にいれてー』

 インスタントの焼きそばに食らいつきながらテレビを見ていると、飛行隊長が目の前のソファに座った。

 溜め息をしながら缶コーヒーを口にする飛行隊長。

「どうしました?」

「海上警備行動が発令されたが、政府は弱腰のようだ。アメリカ軍やお隣の国さん達はもう攻撃をしようとしているぞ。アメリカに関しては第7艦隊も、三沢の航空隊ももういつでも撃てるような状態だぞ。弱腰なのか、まだ話し合っているのか。マニュアルがないとか騒いでいるのか。まぁ、想定外なのは間違いないがな。」

 海上警備行動によって海上保安庁だけでなく、海上自衛隊が派遣されている。

 防衛大臣が、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため、強力な武器を所持していると見られる艦船・不審船が現れる等、海上保安庁の対応能力を超えていると判断した場合に命ぜられる。なお、警察官職務執行法・海上保安庁法が準用される。

「だとしても、そろそろガチで不味いですよ。領海に侵入しようとするこちらの応答にも返答しない奴ら。それこそ、完全に映画のエイリアンですよ。攻撃を受けていないだけまだマシです。」

「まぁ落ち着け。幕僚監部や統合作戦司令部は全部隊に対して防衛出動又は治安出動に対する準備をするように命令を出した。それと、後でブリーフィングでも話すんだが、空自に関しては対艦ミサイルを装備したF-35、F-2を待機させるようにと命令が出た。」

 俺が所属している飛行隊に配備されているF-2は第4.5世代ジェット戦闘機に分類される戦闘機だ。F-1の後継となる支援戦闘機として、アメリカのF-16をベースに改良及び各部大型化を加えて開発された機体となっている。F-2は、アメリカのF-16を、日本の運用の考え方や地理的な特性に合わせ、日米の優れた技術を結集し日米共同で改造開発した戦闘機でもある。

 俺の愛機だ。

 F-35は、F-4戦闘機の後継として導入された最新鋭の主力戦闘機。高いステルス性能だけでなく、これまでの戦闘機から格段に進化したシステムを有している。A型とB型、C型があり、通常離着陸機型のA型。垂直/短距離離着陸機型のB型。艦上機型のC型があり、航空自衛隊にはAとB型を配備している。F-35は正直に言えばチートだと思ってしまう。ステルスというのもあるが、搭載できる武装が化け物。まぁ最初から多用途戦闘機として開発されたため、対地攻撃能力や電子装備の充実しているのはそうなのだが......チートなんだよ......。

「ほう、上が。となると、新田原や三沢からこっちに来ると?」

「あぁ、準備完了後、直ちにこっちに向かうってよ。」


1300

ブリーフィングルーム

「知っての通りあの正体不明の落下物が船舶になるという意味不明な事態が発生。日本のEEZに侵入、領海にも侵入しつつある。現在、海上警備行動が発令され、海上保安庁と海上自衛隊の艦船が対応している。」 

 海上保安庁の巡視船、海上自衛隊の護衛艦や哨戒機が最前線で対応している。 

 第3管区海上保安本部の巡視船あきつしま、いずを中心とする海上保安庁と。第1護衛隊群第1護衛隊のいずも、まや、第4航空群第3航空隊のP-1を中心とする海上自衛隊の艦艇、航空機が監視、追尾している。

「上からの指示で航空自衛隊は海上自衛隊と陸上自衛隊の直接援護する。」 

「陸上自衛隊?」

「仮に領海に侵入し、このまま陸地に近づけば陸上自衛隊の地対艦ミサイルで迎撃する。」

 陸上自衛隊富士教導団特科教導隊の12式地対艦誘導弾。

 12式地対艦誘導弾は、88式地対艦誘導弾の後継として開発された国産の誘導弾。F-2戦闘機に搭載される、80式空対艦誘導弾ASM-1を改良した対艦ミサイルにGPS誘導が追加され、命中精度が向上。もし発射後に目標が大きく移動しても、GPS補正で対応。特に、目標更新能力、識別機能、地形追随能力が改善。88式地対艦誘導弾が障害物のない開けた場所での射撃のみしかできなかったが、山陰や谷間などに隠れて撃てるようになった。これにより敵から発見されるなどの危険性が低下。操作する隊員の生存性も向上。また、再装填の時間短縮も図られている。

 仮に。彼らが撃つことになるのは、本当に危機的な状態であるということだ。

「陸上自衛隊が仮に迎撃することになる事態になった時と、海上自衛隊と海上保安庁の援護に空自は当たる。俺達は、対艦ミサイルを搭載し海上自衛隊と海上保安庁の援護及び目標船舶への攻撃を実施する。おそらくメインは対艦攻撃となるだろうがな。何か質問は?」

 数名が手を挙げた。 

「他の飛行隊は参加しないんですか?」

「第3航空団の第301飛行隊F-35Aが俺達と行動する。対艦攻撃は俺達が。制空権を確保しつつ、俺達を援護してくれる。それと、早期警戒管制機は勿論だが、空中給油機も来てくれる。」

 第404飛行隊のKC-767空中給油機で給油ができ、いちいち基地に帰還して給油する必要はなくなる。また、飛行時間が増えるため、長い間作戦空域に残れる。

 質問がなくなり、各自が準備に取り掛かった。

 整備士らがF-2に対艦ミサイルを搭載しているが、異様な光景だった。

 今までに例のない事態でもあり、実弾を撃つことになるからだろう......。

 最終的に海上警備行動において参加する部隊は以下の通りだ。

 陸上自衛隊富士教導団特科教導隊、第1偵察戦闘団。

 海上自衛隊横須賀基地所属の護衛隊、第4航空群第3航空隊。

 航空自衛隊第7航空団第3飛行隊(F-2A)、第3航空団第301飛行隊(F-35A)、

第1輸送航空隊第404飛行隊(KC-767) 、第602飛行隊(E-767)。

 海上保安庁第3管区海上保安本部。

 

1315

八丈島沖 日本の排他的経済水域(EEZ)

海上自衛隊第1護衛隊群第1護衛隊 DDG-179 まや

「艦長。航空自衛隊の戦闘機部隊と共同で第1護衛隊が対応。対空、対潜警戒を厳としつつ、命令があるまで引き続き警戒監視を続行せよ、とのこと。」

「うーむ。撃沈か。まぁ、そりゃそうだわな。得体のしれない不気味なのが日本の領海に侵入するかも......するだろう目標を放置はできんからな。」

 護衛艦まやの艦長は艦橋の艦長席で帽子を深々と被っていた。

 急に落下してきた物体が急に船みたいになって領海に接近するように進み始めた。

「......うん。対空、対潜警戒を厳にし、目標の船舶を警戒監視。しばらくは海保と共ににらめっこだ。」

 現在。海上警備行動により、海上自衛隊と海上保安庁の艦船が近くから追尾している。現状は基本は海上保安庁が基軸となるが、おそらく自衛隊が基軸となっていくだろう。

 もし、自衛隊が攻撃する場合に備えて海上保安庁の船舶は勿論、海上自衛隊も少しずつ離れる必要がありそうだ。

「海上保安庁にも伝わっているか確認をしてくれ。こんな状況だからこそ確認は必要だ。誤射とかはしたくない。」

「了解。」

「頼む。」  

 双眼鏡で正体不明の船を見る。

 金属なんだろうが、禍々しい黒か、灰色のような色。武装のような物体もある。だが見たことのない砲に、ミサイル発射装置。レーダーも船にあるものは明らかに見たことのない物体だ。特に所属する国の国旗などの旗もない。

「そろそろ領海に入りつつあります。」

「もう撃っていいだろうが。海上警備行動も出ているんだぞ。なぜ政府は射撃許可を出さないんだ。」

 実は海上警備行動を発令されているが、海上保安庁にも我々海上自衛隊にも発砲を禁止にした。

 理由は分からないが。支持率でも気にしているのか? それだと困るんだが。

「艦長、司令部より命令。現時刻をもって、海賊対処法に基づく対処を実施せよ、とのこと。」 

「は? 海賊対処法?」

 ある時期からソマリア沖やアデン湾では、海賊による船舶に対する海賊行為が相次いでいた。その後、海賊被害は急増。各国は現地に海軍艦船を派遣し船舶の護衛を開始。一方、日本関係船舶は同海域の年間通航量の約1割を占めていたが、これらの護衛は外国任せだった。

 このような状況で、日本も国際社会の中の責任ある国家として、ソマリア沖海賊の対策部隊派遣の必要性が高まった。しかし、海上保安官や海上警備行動下の自衛官の、職務執行時の武器使用基準を定めた警察官職務執行法7条では、正当防衛や緊急避難、重大犯罪容疑者が逮捕時に抵抗・逃亡する場合を除いて、武器を使用して容疑者に危害を与えることが禁止されていた。このため、仮に海賊が警告を無視して海賊行為をしようと船舶に海賊船を接近させるだけでは重大犯罪ではないため、海上保安官は危害を与える恐れのある海賊船への射撃ができなかった。また、海賊の定義も定められてなく、国内に対応した海上警備行動では海賊から外国船舶を護衛できなかったため、実効力のある取り締まりは不可能だった。その後、本法の第6条において、警職法第7条の要件の他、海賊行為をする目的で接近・付きまとい・進路妨害する海賊船を停船させるために海上保安官が武器を使用できることを明文化したことで、警告を無視して接近する海賊船の船体に武器を使用して海賊の身体に危害を与えても海上保安官の違法性阻却事由が成立することが明定。これにより海上保安官は、護衛する船舶に接近する海賊船への射撃を容易にできるようになり、さらに外国船舶も護衛できるようになったことから、実効性のある海賊取締りが可能になった。

 おそらく正体不明の船には所属する国旗がないことに加え、武装をしている。そして、日本の排他的経済水域はおろか領海に侵入しようとしていること。海上自衛隊、海上保安庁の艦船と乗員。民間船舶に危害があるかもしれないということから、少し無理はあるが対処するように命令を出した、ということだろう。

 少しずつ目標船舶から距離を取っていく。

 海上保安庁も距離を取りつつ、これから戦場となるであろう海域に民間船舶が誤って侵入しないように囲んでいく。

 DDG-179 護衛艦まやは、第1護衛隊群第1護衛隊のDDH-183 いずも、DD-101 むらさめ、 DD-107 いかづち。第11護衛隊のFFM-1 もがみ、FFM-2 くまの。

 これらの護衛隊と合流し、攻撃準備に移る。

 なお、第2護衛隊群第6護衛隊のDDG-174きりしま、DD-110たかなみ、DD-111おおなみ、DD-116てるづき。第11護衛隊のDD-153ゆうぎり、DD-154あまぎり。

 これらの護衛隊は後方で待機し、万が一に備えている。

 また、第2潜水隊SS-595なるしお、SS-597たかしお。潜水艦も第1護衛隊の援護についてくれる。

「総員へ。対水上戦闘、よーいッ!!!」

「対水上戦闘用意!!」


1330

百里基地

 画像赤外線誘導方式の対艦ミサイル93式空対艦誘導弾、ASM-2。4発がF-2に搭載が終わった。また、90式空対空誘導弾、AAM-3が2発。600ガロン増槽、20ミリ機関砲の弾薬装填が完了した。

 そして、第3飛行隊が所属しているほとんどのF-2が離陸準備に入った。

 整備士のサポートの元、離陸準備を進めていく。

 エンジンを始動。キャノピーを閉める。警告灯は、消えている。IFF(敵味方識別装置)、設定完了。各警報の作動、確認。油圧計、確認。警報と警告なし。

 整備士とも確認が完了。

 整備士がミサイルの安全ピンを外し、それを確認。

 滑走路に前進する。

「バイパー2より管制塔。誘導路を移動中。」

『管制塔よりバイパー2。A滑走路への移動を許可する。位置に付き、待機せよ。』

「バイパー2、了解した。A滑走路にて待機する。」

 滑走路に到着。

 滑走路上でブレーキを踏み込み、左右のスロットルレバーをミリタリーパワーまで前進させる。

 回転計、油圧計、燃料流入計、ファンタービン入り口温度計をチェック。

 他の機体も後ろで順番待ちをしている。

 1番機である隊長機や、何機かはもう離陸しているようだ。

「管制塔、こちらバイパー2。A滑走路にて離陸準備完了。」

『バイパー2、こちら管制塔。離陸を許可する、4000フィートまで上昇せよ、風速は2-2-0、2-7-0の突風が少々。作戦空域の天候は少し雲が多いが、晴れ。』 

「バイパー2、離陸する。クリアテイクオフ。」

 ブレーキを離し、スロットルを80パーセント。ミリタリー位置まで動かす。

 アフターバーナー点火、ゴーゴー!!

 機体が動き始める。

 そして上昇が始まり、フラップと車輪を格納。

「バイパー2、離陸完了。」

『管制塔確認、高度制限解除。以降はAWACS(早期警戒管制機)が指示します。バイパー2、幸運を。』


1400

作戦空域付近

『こちらAWACS、ゴッドハンド。今から君達をサポートする。どうぞよろしく、バイパー隊。』 

『バイパー1だ。どうぞよろしく、ゴッドハンド。』 

 百里基地から飛び続け、作戦空域に接近する。

 天候は少し雲が多かった。見にくい程ではないが、不気味な雰囲気だった。

『ゴッドハンドより全機へ。政府より、防衛出動が発令された、繰り返す。防衛出動が発令された。政府からは特に言ってはいないが、ゴッドハンドからは、そうだな......各機の奮闘の期待と幸運を祈っている。』

 ようやく防衛出動が発令された。海賊対処法という無理やりな行動をせずに済んだ。

 自衛隊法第76条第1項の規定により防衛出動を命ぜられた自衛隊は、我が国を防衛するため、自衛隊法第88条に基づき、国際の法規及び慣例を遵守し、かつ事態に応じ合理的に必要と判断される限度内において、必要な武力を行使することができる。


自衛隊法第76条第1項

内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃(外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む)に際して、我が国を防衛するため必要があると認める場合には、国会の承認(衆議院が解散されている時は、日本国憲法第54条に規定する緊急集会による参議院の承認)を得て、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。ただし、特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。


自衛隊法第88条(防衛出動時の武力行使)

第76条第1項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、我が国を防衛するため、必要な武力を行使することができる。


2 前項の武力行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合にあつてはこれを遵守し、かつ、事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならないものとする。

  

 今回の場合は、緊急の必要がある場合だったのだ、国会の承認を得ないで出動を命じている。

 ちなみに。防衛出動を発令できたのは、防衛大臣が内閣総理大臣に殴り倒して、まぁ説得したとか......。


 海上自衛隊と海上保安庁の艦艇が見える。そして、その艦艇の目の前には、ゆっくりと進む正体不明の船舶が確認できた。

『ゴッドハンドよりバイパーへ。三沢のF-35A、ケロヨン隊の到着が遅れている。ETAが5分後となる。』

「海上自衛隊の攻撃開始時刻は、1405。こちらの攻撃も同時刻で行うとなると、制空権が少々心許ないな。」

 第301飛行隊のF-35Aと、俺達第3飛行隊のF-2。これら飛行隊は1400に到着し、1405に海上自衛隊が再三の警告と、警告射撃を行う。それでも停船しなければ、海上自衛隊と共同で攻撃する予定だった。

 万が一のこともあるため、第301飛行隊のF-35Aが制空権を確保している状態での攻撃である。

「隊長、どうします?」

『命令通り。奴らは領海に侵入する。つまり、人の家にズカズカと入ってんだ。』

 1405が攻撃開始なのは、正体不明船舶が領海に侵入する予想時刻だからだ。 

 ギリギリの時刻での部隊終結でもあるからだろう、予定通りには難しかった。

 だからと言って、ここで止まることは許されない。


1405

海上自衛隊第1護衛隊群第1護衛隊 DDG-179 まや  

「目標が領海に侵入。」

「艦長、時間です。統合作戦司令部からも、許可が出ています。」

「うむ。予定通り、停船命令と警告を始める。」

 日本語、英語、中国語、韓国語、朝鮮語、スペイン語、アラビア語。

 これでもか、というほどのあらゆる言語で警告する。

 しかし、停船しなかった。

「速度そのまま、直進してきます。」

「警告射撃を始める。......対水上戦闘! 主砲、撃ちぃ方始め!」 

 主砲の62口径5インチ単装砲が一発、発射する。

 そして、それは正体不明船舶の前方に着弾。水柱を立てる。

 嘲笑うように進み続けてくる。

 他にもP-1哨戒機による爆雷投下、DD-116てるづきの62口径5インチ単装砲による警告を行ったが、停船の気配はなかった。

「艦長。統合作戦司令部より命令。現時刻をもって、航空自衛隊と共同で攻撃を開始せよ。」

「いずもより各艦へ。攻撃開始。」

「了解した。......対水上戦闘! 目標、前方の敵船舶。主砲、撃ちぃ方、始めッ!!」

 砲雷長の操作によって主砲から、敵の船舶に向けて発射。

 他の艦も、主砲や対艦ミサイル、魚雷を発射する。


ほぼ同時刻

第3飛行隊 F-2

『ゴッドハンドよりバイパー隊。海上自衛隊が攻撃を開始。こちらも、攻撃開始だ。ウェポンズ・フリー、全機攻撃を許可する。』

 増槽を放棄。

 レーダーを照射。

「ロックオンだ。バイパー2、ミサイル発射。」 

『バイパー1、ミサイル発射。』

 F-2から対艦ミサイルが発射。敵の船舶に向かい、着弾。 

 複数のミサイルなどが着弾し、敵船舶が海の藻屑となっていく。

『バイパー隊、再度侵入する。』  

『こちらバイパー3。船団の中に空母のような船体をした船舶を複数確認。甲板みたいな甲板建造物がある。』

 目視で確認した。確かに空母のような建造物がある船舶がある。

 旋回して、再度攻撃ラインに侵入。

 空母のような船舶にロックオン。

「ミサイル発射。」

 命中確認、破壊した。

 これで対艦ミサイルは撃ちきった。補給のために基地に戻る。

『ゴッドハンドよりバイパー。レーダーに反応あり。警戒せよ。』

 AWACSとのリンクが繋がっているため、位置をすぐに確認できる。

 複数探知しており、レーダーのディスプレイに出てくる。

 IFFを送信。

 応答なし。

「IFFに応答しない。」

『敵機、離陸しました!』

『ゴッドハンドから攻撃中の各機及び各艦へ。敵船舶から航空機発艦! 付近にも航空機らしき機影探知。』

各機、後方に警戒!

『こちらバイパー3、レーダー照射を受けた!!』

「ブレイクしろ!!」


DDG-179 まや 

「おいっ! レーダーを確認しろっ!!」

「レーダー、AWACSからの情報も合わせても、敵航空機、30機探知!」  

「20機程度が、こちらに接近!」

「対空戦闘用意!! 」

「対空戦闘、用意!」

 主砲や対艦ミサイル発射よりも、艦隊防空に専念する。

 イージス艦のDDG-174 きりしま、DDG-179のまやが主となって対空戦闘を行う。

「対空戦闘。目標、接近中の敵航空機! SM-2、攻撃始め!!」

「SM-2、攻撃始め!」

 対空ミサイル発射され、敵航空機向かう。

 イージスシステムは、従来のような単なる防空システムという枠にとどまらない。イージスシステムは、レーダーなどのセンサーシステム、コンピュータとデータリンクによる情報システム、ミサイルとその発射機などの攻撃システムなどが連結されている。これにより、防空に限らず、戦闘のあらゆる局面において、目標の捜索から識別、判断から攻撃に至るまでを、迅速に行うことができる。システムが同時に捕捉・追跡可能な目標は128以上といわれ、その内の脅威度が高いと判定された10個以上の目標を同時迎撃できる。このように、きわめて優秀な情報能力をもっていることから、情勢をはるかにすばやく分析できるほか、レーダーの特性上、電子攻撃への耐性も強いという特長もある。

 ちなみに、イージス(Aegis)とは、ギリシャ神話の中で最高神ゼウスが娘アテナに与えたという盾であるアイギス(Aigis)のことだ。

「全目標撃墜!」


第3飛行隊 F-2

『後ろにつかれた!』  

「俺がやる、バイパー4は右に回避しろ、急げ!」

 ドッグファイト開始だ。

 バイパー4の後ろに引っ付いた虫を引っ剥がす。

 敵機は、前のこいつと、もう10機。2発しかない対空ミサイルを無駄遣いはしないようにしたい。

「ロックオン! バイパー2、FOX-2!!」 

 右翼端のミサイルが発射され、敵航空機に向かう。

 敵航空機は回避行動を取ろうとして、左旋回しようとしたが、被弾して爆発、墜落していく。

「スプラッシュワン!」

『バイパー1。FOX-2、FOX-2!』

 何とか敵航空機を撃墜していく。

 ミサイルだけでなく、機関砲を使用した。

 ミサイルが主流となったドッグファイトで機関砲を使用することになるとはな。

『バイパー3、ミサイルゼロ。』

『バイパー4もだ。』

「2も、ない。」

『バイパー1はミサイルが一発だ。だが、機関砲がほぼなし。』

 勿論だが、ミサイルを搭載できる数は限られている。そもそも、対艦ミサイルを満載にした対艦攻撃を主としていたことやF-35Aの飛行隊が制空権を確保前提だったので、空対空戦闘は想定してなかったので、対空ミサイル搭載数は少ない。

「くそ、敵のロックオン!!」

 機内の警報が鳴り響く。

 後方から敵機。しかも......。

『敵艦船からロックオンされてる! 奴ら、防空兵器も備え付けられている!!』

『ミサイル接近中!!』

『ブレイクしろ!』

 あっという間に空は地獄となった。まるでGを気にしない動きをする敵航空機。大量に、不規則に動く逃げられないミサイル。

 嘲笑っているのか?

 そんな言葉が出てくる程に、遊ばれた。

 次から次にミサイルが飛んできて、回避したても、別のが飛んでくる。

 回避機動を取り、フレア、チャフを展開させ、急降下。アフターバーナーで逃げ続ける。

 気付いた頃には、仲間のF-2が見えなくなった。

『ゴッドハンドからバイパー2。応答せよ!バイパー2、ジャッカル!!』  

 AWACSのゴッドハンドの声で目が覚めた。

 寝てたのかって?

 急降下とアフターバーナーで、ブラックアウトして気絶してたようだ。

 海面スレスレで飛行してる。『PULL UP!』 と警報が鳴り響いている。高度を上げて、艦隊のいる空域に向かう。

「はぁ、はぁ......。ゴッドハンド、こちらバイパー2。」

『ゴッドハンドだ。大丈夫か?』

「問題なし。ただ、武装は機関砲のみ。フレアやチャフなし。燃料僅か、RTBまで10分。他はどこだ?」

『バイパー隊の生き残りは、君だけだ。』 

 え?

 生き残りが俺だけ?

「冗談だろ......。」

『応援のケロヨン隊が到着したが、一機が撃墜された。艦隊防空に当たっている。君は、羽田空港に着陸せよ。着陸は空港が管制する。了解か?』

「バイパー2、ラジャー。RTB。」



1500

第304飛行隊 F-35A

『後ろにピッタリと付かれている!!』

「任せろ。やってやるぞ!」

 乱気流によって到着が遅れた。F-2の飛行隊がほとんどやられたと聞いた。俺達も、一機やられた。

 もう仲間を墜とすわけにはいかない。

「ロックオン! FOX-2。」

『ナイスキル!』

 取り敢えず周辺の敵航空機は排除し終えた。また、海上自衛隊の奮闘で、敵艦船を撃沈した。

 この海域と空域は守ることができた。

 しかし、F-2の飛行隊や、海上自衛隊の護衛艦の中には被弾をして、死傷者が発生した。


 これで、日本では初の防衛出動と、


 戦死者を出した。


『隊長。各機、燃料が少なくなってます。羽田に行って、補給が必要です。』

「ミサイルを撃ち尽くした機体は羽田に行け。2発残っているなら、空中給油機で燃料を補給しろ。まだ艦隊防空と警戒が必要かもしれん。」

『ラジャー。』

  

1515

東京都江東区 お台場青海地区R区画

陸上自衛第1偵察戦闘大隊 戦闘中隊 16式機動戦闘車

「了解した。警戒は続行する、終わり。はぁ。」

「隊長、どうしました?」

「あの正体不明の船舶と、そこから発艦した航空機は、海上自衛隊と航空自衛隊が対処して撃退したんだが。......はぁ。戦闘機が撃墜されたり、護衛艦が被弾して死傷者が出たそうだ。」

 陸上自衛隊第1偵察戦闘大隊は、富士教導団特科教導隊を護衛という意味でも練馬駐屯地から警察の誘導を受けつつ、このお台場にある青海地区R区画、駐車場に到着した。

 先程到着したと同時に、海上自衛隊と航空自衛隊が敵を倒したという連絡を受けた。

 特科教導隊は万が一に備えて、射撃準備をしている。

 特科教導隊第6射撃中隊は、12式地対艦誘導弾を4台装備している。

 12式地対艦誘導弾は、1個中隊は射撃統制装置1基、発射機1-4輌、弾薬運搬車1-4輌、捜索標定レーダー装置2基、中継装置1基、指揮統制装置1基と、多くの人や車両で構成されている。

 第1偵察戦闘大隊やこの特科教導隊の車両は、キャタピラでなく、タイヤであるので機動性が高く、警察の誘導もあり、迅速な展開ができた。

 しかし、まだ周辺に民間人がいる。こちらを見ていたり、SNSにアップするのだろうか。スマホを持って撮影している人。少し見て、どこかに行く人。それでも、射撃することになれば危険だ。

『戦闘中隊長より、各車に通達。各小隊は警戒を厳に、万が一に備えて待機せよ。終わり』  

「これは長くなるな。」

 タバコを吸いたい。そう言おうとしたが。

 ......突如として巨大な水柱が立った。

 小さい水柱も起きているが、あまりにも......多過ぎる。爆発があっても、異常過ぎる。

 ここにいる隊員や、近くにまだいる民間人は全員、水柱を見ていた。

『か、各車。警戒しろ。』 

『偵察中隊のオートバイとドローンで確認する。戦闘中隊の第1小隊は確認に向かえ。』

「小隊、前進用意! 前へ!」

 偵察用オートバイと、ドローンの後ろからついていく。

 嫌な予感がする。

 しばらく走行し、海が見える場所まで来た。

「小隊止まれ! 何が見える!?」 

『何も見えない。何かの爆発なのか、それとも......。』 

 双眼鏡を取ろうとしたその時だった。

 一発の砲弾が飛んできて、すぐ横に着弾した。

「うぉ!?」

「バイク、下がれ! 小隊、海を監視しろ!」 

 砲が海に向けられる。

 何か、黒い影が......。

『な、何かいる!』

 すると、黒い物体が浮上したり、上陸した。

「え?」

 二足歩行、四足歩行、タイヤやキャタピラといったロボットのようなものだった。戦車砲や、ミサイルといった武装もなされている。海上自衛隊と航空自衛隊が対峙した船舶や航空機といった奴らと、同じような色をしている。明らかに奴らの仲間だ。

 攻撃してきたのは、あっちからだ。遠慮なくやる。

「小隊、攻撃用意!!」



防衛出動などの法律 引用 

防衛省・自衛隊


こんにちは

新シリーズです。

読んでくださり、ありがとうございます。

『防人シリーズ』、『青春と銃とシリーズ』もよろしくお願いします。

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