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俺と良宵は、同じ五つの時に、同じ孤児の身で宵の一門に迎えられた。 ただ、俺が一日早く門をくぐった。それだけで、俺は兄弟子となった。
出会った日の良宵は、夕陽に透けるように儚く、風に触れれば消えてしまいそうな光だった。 俺はその光に手を伸ばし、兄弟子として、傍に在れば自分も光になれると信じて微笑んだ。 良宵が微笑みを還してくれたその瞬間、俺は兄弟子として、あいつの孤独に寄り添えた気がした。
良宵の喪失の闇を、この手で照らしたい。
それが、俺が初めて抱けた願いでもあった。
宵の闇に迷う良宵の背を、己が螢火でそっと温められると、そう思うことが、俺の希望だった。
あの頃の俺は、光に憧れるどころか、誰かの夜を抱けると信じていた。
……だが、守りたかったその小さな光は、俺よりも遥か高みに在る光だった。
気づいたときにはもう、良宵は俺の手の届かぬ場所にいた。




