転生日記2
【ボクの転生日記 夏休み後編 ~また、ここから~】
海での冒険を終えたぼくたちは、あの日、またこの世界へ帰ってきた。
玄関を開けると、サキが飛びついてきて、泣きながらぼくを抱きしめた。
「春風、おかえり!」
胸の中に広がった、あたたかい匂い。――ああ、ぼくは帰ってきたんだ。
次の日から、またいつもの夏休みが始まった。
ルイとネジリと一緒に、花火大会に行ったり、夏祭りでたこ焼きを食べたり、セミを追いかけたり。
楽しいけど、ふとした瞬間に、あの青い海を思い出す。
……オルド、シャーク・グラン、マリン。
ぼくたち、ちゃんと別れも言えなかったな。
ボクの転生日記 夏休み後編 ~また、ここから~】 海での冒険を終えたぼくたちは、あの日、またこの世界へ帰ってきた。 玄関を開けると、サキが飛びついてきて、泣きながらぼくを抱きしめた。 「春風、おかえり!」 胸の中に広がった、あたたかい匂い。――ああ、ぼくは帰ってきたんだ。 次の日から、またいつもの夏休みが始まった。 ルイとネジリと一緒に、花火大会に行ったり、夏祭りでたこ焼きを食べたり、セミを追いかけたり。 楽しいけど、ふとした瞬間に、あの青い海を思い出す。 ……オルド、シャーク・グラン、マリン。 ぼくたち、ちゃんと別れも言えなかったな。 だから、裏山に「ヒミツ基地」を作った。 中に、小さなノートを置いた。 タイトルは、『ぼくたちの夏』。 そして――。 「なあ……宿題、やった?」 夏休み最後の週。 ルイとぼくは余裕の笑みだったけど、ネジリは顔面蒼白だった。 「う……うっかりしてたぁぁあ!!」 彼の叫びと同時に、夏休み最大のバトルが始まった。 答え合わせ、作文手伝い、自由研究でテンヤワンヤ。 ぼくたちは、また一つ、変な絆を深めた。 ギリギリ間に合った最終日、 三人でヒミツ基地に集まった。 ノートに、ぼくはそっと書き足す。 ――大冒険も、ドタバタも、すべてがぼくたちの宝物だった。―― ヒミツ基地のドアを、カタンと閉める。 この夏の思い出も、そっと鍵をかけて、心にしまった。 ……さぁ、また次の冒険が始まるんだ。
だから、裏山に「ヒミツ基地」を作った。
中に、小さなノートを置いた。
タイトルは、『ぼくたちの夏』。
そして――。
「なあ……宿題、やった?」
夏休み最後の週。
ルイとぼくは余裕の笑みだったけど、ネジリは顔面蒼白だった。
「う……うっかりしてたぁぁあ!!」
彼の叫びと同時に、夏休み最大のバトルが始まった。
答え合わせ、作文手伝い、自由研究でテンヤワンヤ。
ぼくたちは、また一つ、変な絆を深めた。
ギリギリ間に合った最終日、
三人でヒミツ基地に集まった。
ノートに、ぼくはそっと書き足す。
――大冒険も、ドタバタも、すべてがぼくたちの宝物だった。――
ヒミツ基地のドアを、カタンと閉める。
この夏の思い出も、そっと鍵をかけて、心にしまった。
……さぁ、また
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【ボクの転生日記 夏休み後編 ~また、ここから~】
海での冒険を終えたぼくたちは、あの日、またこの世界へ帰ってきた。
玄関を開けると、サキが飛びついてきて、泣きながらぼくを抱きしめた。
「春風、おかえり!」
胸の中に広がった、あたたかい匂い。――ああ、ぼくは帰ってきたんだ。
次の日から、またいつもの夏休みが始まった。
ルイとネジリと一緒に、花火大会に行ったり、夏祭りでたこ焼きを食べたり、セミを追いかけたり。
楽しいけど、ふとした瞬間に、あの青い海を思い出す。
……オルド(タコ)、サメ(シャーク)・イカ(グランマリン)。
ぼくたち、ちゃんと別れも言えなかったな。
だから、裏山に「ヒミツ基地」を作った。
中に
ボクの転生日記 夏休み後編 ~また、ここから~】 海での冒険を終えたぼくたちは、あの日、またこの世界へ帰ってきた。 玄関を開けると、サキが飛びついてきて、泣きながらぼくを抱きしめた。 「春風、おかえり!」 胸の中に広がった、あたたかい匂い。――ああ、ぼくは帰ってきたんだ。 次の日から、またいつもの夏休みが始まった。 ルイとネジリと一緒に、花火大会に行ったり、夏祭りでたこ焼きを食べたり、セミを追いかけたり。 楽しいけど、ふとした瞬間に、あの青い海を思い出す。 ……オルド、シャーク・グラン、マリン。 ぼくたち、ちゃんと別れも言えなかったな。 だから、裏山に「ヒミツ基地」を作った。 中に、小さなノートを置いた。 タイトルは、『ぼくたちの夏』。 そして――。 「なあ……宿題、やった?」 夏休み最後の週。 ルイとぼくは余裕の笑みだったけど、ネジリは顔面蒼白だった。 「う……うっかりしてたぁぁあ!!」 彼の叫びと同時に、夏休み最大のバトルが始まった。 答え合わせ、作文手伝い、自由研究でテンヤワンヤ。 ぼくたちは、また一つ、変な絆を深めた。 ギリギリ間に合った最終日、 三人でヒミツ基地に集まった。 ノートに、ぼくはそっと書き足す。 ――大冒険も、ドタバタも、すべてがぼくたちの宝物だった。―― ヒミツ基地のドアを、カタンと閉める。 この夏の思い出も、そっと鍵をかけて、心にしまった。 ……さぁ、また次の冒険が始まるんだ。 (続く)
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第十六章 秋風と鎖と、ちょっぴり赤い朝
秋の風が、窓の隙間からスルリと入り込んできた。
俺はもそもそと布団から這い出し、まだ寝癖のついた頭をかきながらリビングへ向かう。
「……なんか、もう寒くね?」
「だから昨日パジャマ長袖にしとけって言ったのに」
父波瑠の顔にジャムべったりのトーストを片手に呆れ顔。口の端にもジャムがべったり。完全に“犯人顔”だった。
「その顔で人の服にジャム落とすのやめてくれる?」
「それは“事件”だったでしょ。今日は“運動会”だから」
テーブルの向こうでは、春風が髪をくるくる指に巻きながら紅茶を飲んでいる。その姿はどこか余裕たっぷりで、まるで“朝の貴族”。
「春風さん、今日の玉入れ、やる気ある?」
「ふふ、もちろん。『楽園鎖』の応用で、空中に鎖のレールを作って玉を直接カゴに導く……ってどう?」
「それ、審判に見つかったらどうするんだ」
「“風です”って言えばバレないでしょ。風のせい。全部風のせい」
「おまえ台風レベルの風だろ……」
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昼過ぎ。運動場はお祭り騒ぎ。焼きそばの匂い、カラフルなテント。隣のクラスでは応援団がなぜか全員、たこ焼きの着ぐるみを着ていた。
そして、いよいよ玉入れの時間。
春風の“透明な鎖”作戦が静かに始動する。玉は空中でフワリと浮かび、何事もなかったようにカゴの中へ――
「うぉぉぉぉ!!すげぇ入る!!」
「うちのクラス、覚醒してる!? いや、進化してる!?」
「これが“現代玉入れ”か……!」
実況も混乱。先生も「あの……これは……」と遠巻きに眺めているだけ。もはや誰も止められない。
結果、我がクラスはダントツの優勝。
勝利のハイタッチが飛び交い、ルイは勝手に表彰式用のスピーチを始めていた。
「兄の力はゼロだったけど、妹の応援は百点でした!」
「何点満点中だよ、それ……」
そして――運命の事件が起こった。
春風が、ふと俺に近づき、「……私、ちょっとだけがんばったよね?」と、ほんの少しだけ頬を染めながら言った瞬間。
俺の鼻から、ツーッと。
「うわっ!? 鼻血出てる!」
「誰か! ティッシュ! ティッシュの雨を降らせてくれぇぇ!」
「またそれ!? 春風さん、どんなフェロモン出してるんですか!?」
午後の競技は、鼻にティッシュを詰めたまま出場するという前代未聞のスタイルで参加した俺だった。
夜、ルイの日記には、こう綴られていた。
《兄、運動会で初の流血(鼻)。でも、たぶん“恋”です》
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(続く)