正徳寺の会見(4)
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「さて、そろそろあのうつけが部屋に入ってくる頃よの。さっそくイジリ倒してやらねばの」
「……お待たせ致しました、舅殿。織田信長に御座ります」
「なっ、信長殿。その格好は正装ではないか。なんと立派な……」
「美濃のマムシと恐れられている舅殿との会見に御座りますれば、正装で臨まねば無礼に当たりますゆえ」
「な、何と。そなたは来る途中、何やら奇妙な格好を……」
「(小声)殿、のぞき見がバレますぞ」
「あ、いや。何でもござらん。信長殿は『うつけ』との噂を耳しておったが、何の何の。実に見事な出で立ちにござる。しかしワシとそなたとは既に娘婿と舅の間柄、そのような堅苦しさは無用と存ずる。普段の調子で挨拶なされるがよい」
「では舅殿のお言葉に甘えて、いま一度、自己紹介を。アナタの心にズッキュンバッキュンドッキュンコンコンチュッチュッチュッチュッチュッ織田信長ですっ! えすたぶりーっしゅっ!」
「……? はて、何なのじゃ、その挨拶は」
「かすこんねぅの挨拶に御座ります。わりと最近知りまして。参考URLはこちらに御座ります。(https://www.youtube.com/watch?v=YKQkHu4_J9E)」
「殿! また得意の丸パクりですか。マズいですよ。ていうか、こんな大事な時に参考URLとか貼ってる場合ですか」
「まぁまぁ、池田殿。少しくらいなら良いではござらんか」
「……」
「して、信長殿。先ほどの挨拶は早口過ぎてよく聞き取れなかったのじゃが、何と申しておったのかの。アナタのアソコにズッコンバッコンなんとかと申しておったようじゃが」
「いいえ、そうでは御座りませぬ。もう一度やりますので、よくお聞きください。 アナタの心にズッキュンバッキュン……」
「殿っ!」
「うわっ。急に大声出さないでよ、恒興」
「さすがにフザけ過ぎですぞ。それに斎藤殿まで……。もう自己紹介はよいでは御座りませぬか」
「はてさて、池田殿は生真面目なしっかり者じゃの。あ、いや、これは褒めておるのじゃ。ハッハッハッ」
「……」
「いや、確かに恒興の申すとおり、この信長も少々フザけ過ぎました」
「構わん、構わん。それだけ腹を割って話が出来ているという事じゃからの」
「ときに舅殿。もう私の自慢の黒光りした固くて長い立派な棒はご覧になられましたかな」
「(小声)殿、そのような言い方をされては話が通じな……」
「おお。実に見事なものであったぞ。あのように黒光りした固くて長い立派な棒を駆使して、休む間もなくガンガン攻め立てられては、みなエビ反りになって逝きまくるであろうの」
「げっ。話が通じてるし。何だこの二人」




