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元服

やがて、天文15年(1546年)。


「若君、いよいよ元服に御座りますな。恒吉も嬉しく存じます」


「どこが嬉しいのよ。元服なんて腹の足しにもならないじゃないの。アタシは元服よりも満腹の方がいいわ」


「だったら満腹の状態で元服すれば良いではありませんか」


「あら、お利口さんね。って、それじゃ(はかま)がキツくて履けなくなるじゃないの」


「では先に袴を履いて、その後おにぎりを食べながら元服なされては?」


「なるほどー。それなら満腹で元服ね、って、おい!」


「ダメですか?」


「そりゃダメに決まってるわよ。そういう(わけ)にいかないでしょーよ。成人式でみんなが黙って市長のお祝いの言葉を聞いてる最中に、アタシだけテリヤキバーガーを食べてるようなもんよ? アンタ」


「そうだ、ついでにポテトもいかがですか?」


「あら、気が利くわねー。じゃあそれも頂いちゃおうかしら」


「ドリンクも一緒に頼むとセットでお安くなりますよ?」


「え? 安くなるんじゃ仕方ないわねー。じゃあそれもセットで頂いちゃおうかしら」


「ドリンクは何になさいます?」


「そうねー。やっぱコーラでしょ。彼女との間にちょっとした間違いがあったときは、コーラで洗えば何とかなっちゃうからね」


「いや、何とかならないから。いつの時代の迷信ですか、それ。っていうか、間違いを起こしちゃダメだから」


「そんなこと言われたって、我慢してても出るときゃ出るのよ。仕方ないでしょ」


「出すなら外に出せばいいでしょ。つか、最初からゴムを付けとけばいいだけじゃないですか」


「バカね。たまたまゴムを持ち合わせてないタイミングで盛り上がっちゃう事だってあんのよ。そんなもんいつも持ち歩いてるとか、どんだけゴムが好きなのよ。石油王か」


「それ、ツッコミおかしいでしょ。ずいぶんやっすい石油王ですね」


「まぁとにかく、つい成り行きでそうなっちゃう事もあるのよ。若気の至りってヤツだわ。若気の至り窓の雪〜♪ってな」


「そりゃ、蛍の光だろ」


「そんな事よりドリンクのサイズは選べないの?」


「サイズはS、M、Lとありますけど、どれにしますか?」


「じゃあSで。ドSで。あとオプションでローソクと(ムチ)も付けてちょーだい。あ、ローソクは油多め、(ムチ)はバリ硬で、っておい。ここはラーメン二郎か。アタシは三郎信長よ」


「いやー、なかなか長いノリツッコミに御座りますなぁ」


「そりゃあノリツッコミも長くなるわよ。だって今日からアタシは信『長』だから。なんちゃって」


三郎(さぶろう)だけに、(さぶ)ッ!」

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