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どこかも分からない道を真っ直ぐ走り続ける。
息が上がるほど走ったのは何年振りだろう。
もっと、もっと遠くに。
知り合いなんて一人もいないところに行きたい。
「あ」
林を抜けると辺りには海が広がっていた。どうやらここが最終地点のようだ。
海の間近にある堤防まで歩く。すぐ下には一定のテンポで波が打ち続けている。
「・・・死ねますよーに」
一人で呟き体を前に倒す。一瞬で体全体が水に包まれる。
そういえば海に入るの初めてだな。そう思いながら静かに沈んでいく。
そのまま私の意識は途切れた。