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第七話 『体験入店』


 「次は、この店の決まりについて説明するわね?」


 レジーナさんによる、悦楽の園クレムパイズのお店の説明はこうだ。


 ――

 『お客さんはクレムパイズへ入店後、娼嬢を指名できる。』

 『指名した場合、娼嬢に対する指名料が発生する。』

 『指名料は一律金貨五十枚。うち十枚が娼嬢の手元へ。』

 『指名しない場合、店側が娼嬢を決める。』

 『その次に接客サービスのグレードを選ぶ。』

 『接客サービスのグレードは六つ。』

 『それに応じたチップと呼ばれるコインを購入する。』

 『ウッドチップは通常のキャバクラと変わらず、軽度なお触りは許される。金貨五十枚。」

 『ロックチップは娼嬢が全裸になる以外、ウッドチップと同様。金貨百枚。』

 『ブロンズチップは、ベッドのある個室でお客さんが娼嬢に対して身体を用いた愛撫が行える。その間、お客さんも娼嬢も自らに対しては出来ず、制限時間の最後のみ、娼嬢の身体への外側からのフィニッシュが行える。時間制限三十分。金貨二百枚。』

 『シルバーチップは、ベッドのある個室でお客さんが娼嬢に対して玩具を用いた行為が行える。娼婦は自らに対して出来ない。娼嬢の身体への外側からのフィニッシュは何度でも自由。時間制限三十分。金貨五百枚』

 『ゴールドチップは、ベッドのある個室でお客さんが娼嬢に対して本番行為が行える。娼嬢の身体の中側へのフィニッシュは一度のみ。外側は何度でも自由。金貨四百枚。』

 『プラチナチップは、ベッドのある個室でお客さんが娼嬢に対して何でも自由に行える。時間制限も無い。金貨千枚。』

 『娼嬢は入店時等に、選択可能な接客サービスを自らの意思で決められるので、お客さんは娼嬢により買えるチップが変わる。』

 『チップ購入後の接客サービス中でも、娼嬢が宣言する事により、チップのグレードアップさせる事が可能。通常、選択可能でないグレードにも変更が可能。』

 『接客サービスの報酬は、半分が娼嬢のものになる。』

 ――


 「一番気をつけて欲しいのは、肉体的にも精神的にも…追い込まれて言わされる事。」


 「あの…。追い込まれてと言うのは…一体?」


 どう言うことなのか、私にはよく分からなかった。


 「ブロンズチップとシルバーチップは、お客さんが娼嬢の身体に…色々としてくれる訳でしょ?でも、寸止めを繰り返されたらどう?」


 寸止めを繰り返されるなんて、考えただけで悍ましい…。


 「確かに…!!追い込まれて…でも、言わない自信は無いですね…。」


 「でしょう?だから…ユナちゃんは、よく聞いて?実は、特別なルールがあってね?ちょっといいかしら?」


 レジーナさんに、私はコッソリと耳打ちされた。



――――


 ――ガチャッ…

 ――ギィィィッ…


 レジーナさんが私を連れて、お客さんから指名されるまでの間、娼嬢達が時間を潰して過ごす待機部屋へと入った。

 待機していた娼嬢の方達が一斉に、私達の立つドアの方に顔を向けてきた。


 「今日限定で体験入店した、ユナちゃん。皆んな、色々教えてあげてね?」


 「先輩の皆様方!!宜しくお願いします!!」


 深々と頭を下げた。


 「ご主人様?あとは私にお任せ下さい!!ほら、ユナちゃん?私達は…今日から姉妹だよ?だから…頭上をげて、こっちにおいで?二人だけで話をしようか?」


 大人っぽい声の女性の声がした。

 顔を上げると…長髪で前髪が揃った黒髪で、色白な日本人のような容姿の女性が手招きしていた。


 「ユナちゃん?良かったわね?なかなかアリサに気に入られる子少ないのよ?じゃあ、またあとでね?」


 アリサ…。

 明らかに、日本人の名前だ。


 「はい!レジーナさん、ありがとうございました。」


 レジーナさんは頷くと、待機部屋から出て行った。



――――



 今、私は…待機部屋の奥にある、通称説教部屋に居た。

 レジーナさんと別れた後、急いでアリサさんの元へと駆け寄った。

 すると、アリサさんに手を引かれ…連れ込まれたのだ。


 「ねぇ…?ユナちゃんって…漢字はどう書くの?」


 やっぱり…日本人のようだ。


 「結ぶに、神奈川の奈です。」


 「そっかぁ、やっぱり!!じゃあ、私はねぇ…有るに更紗の紗かな?」


 有紗(ありさ)さんと言うようだ。


 「アリサお姉様?私の名前は望月結奈です。二十七歳ですが…宜しくお願いします!!」


 「私の名前は…田中有紗。二十八歳だよ?同世代の日本人…初めて会えたぁ!!ねぇ…?アリサで良いからさ…ユナって呼んでも良いかなぁ?こちらこそ…宜しくね?」


 滅茶苦茶、アリサに親近感が湧いてきた。

 アリサも私に親近感を持ってくれたようだ。


 まさか、こんな異世界で、しかも…大人な目的の酒場で…日本人に会えるなんて。


 「どうして、ユナはこの世界に?」


 とりあえず、リヴくんの蛮行から今までの経緯を…アリサに話して聞かせた。


 「私は…まだ年端もいかない頃、自殺しようとしてさ?高層ビルから飛び降りたの…。」


 アリサも…自分の身の上話を語り始めた。


 「迷惑な話だよねぇ…?それで目覚めたら、この世界に倒れててさぁ…。ウエンディルの攫われた彼女のユルハに助けてもらったんだ…。その頃は、真っ当な仕事しようって、ユルハと二人して頑張ってたんだけどね?ある日、私の目の前で魔王達は…ユルハだけ攫ってったんだ。それから…頑張るのが虚しくなってね?私は自分の本能に従って娼嬢してるんだ。絶対、ユルハには怒られそうだけどね?」 


 もしかして…。

 ウエンディルさんは行きつけだから勧めたんじゃ無い…。

 恋人だったユルハさんと親交があったアリサさんが居るから…このお店を?


 「そうだ!!今日の…体験入店の件だけどさぁ?ユナは絶対、ブロンズチップまでにしといて?私はもう…人生終わってるから、プラチナチップまで設定しちゃってるけどね?」


 「えっ?!アリサ…大丈夫なの?!出来ちゃわないの?」


 プラチナチップは何でもありの時間無制限だったはず…。


 「私はさぁ?ユルハと薬屋さんしてたんだ…。ウエンディルが依頼に出た時に、薬草とか摘んできて貰ったりしてね?だから、その時の知識を使って…避妊薬も作れるの。だから、意図せずに出来ちゃうことは無いかなぁ。」


 ――コンコン…


 誰かが説教部屋のドアをノックした。


 「さて、私かユナか…どっちかご指名だよ?出よっか!」


 そう言われると…気が重かった。


 「うん…。」


 ――ガチャッ…

 ――ギィィィィッ…


 アリサがドアを開けた。

 するとドアの前に、黒服さんが待っていた。


 「ユナちゃん!早速、ご指名だよ?サービス内容は、ブロンズチップみたいだけど…大丈夫かな?」


 「はいっ!頑張ります…!!」


 私は着ていた娼嬢専用の衣装を脱いで準備した。

 衣装と言っても、際どい角度のハイレグ水着なのだが。

 ロックチップ以上の場合は脱ぐのが決まりだ。


 「それじゃあ、お客さんのお待ちの部屋に案内するね?」


 「ユナ?ヤバかったらいつでもあの言葉言うんだよ?」


 「うん…。」


 アリサの言葉がずしりと重く感じる…。

 レジーナさんも忠告してくるくらいだ…余程なのだろう。



――――



 黒服さんにお客さんの待っている部屋の前まで案内された。


 「体験入店だから、ホントに…無理しないでね?では、宜しくお願いします。」


 そう言うと黒服さんは、受付の方へ向かって行った。

 凄くドキドキしてきた…。

 これから見も知らぬ男性から愛撫を一方的に受けるのだ。


 ――コンコン…


 「ユナです。お待たせいたしました。」


 ――ガチャッ…

 ――ギィィィィッ…


 ドアを開けると…太った禿げ頭の五十代くらいのおじさんの姿が目に飛び込んできた。

 これが現実、これが普通なのだ…。

 私の恋人四人の容姿はただただ奇跡的なだけなのだ…。


 「ユナちゃん!!早く!ベッドの上においで?」


 おじさんは裸でベッド脇の椅子に腰掛けて待っていた。


 「はい…。本日はご指名下さりありがとうございます。」


 私はベッドへと上がると、寝そべって目を閉じた。


――――

この話の主な登場人物

――――

名前:望月結奈 ふりがな:もちづきゆな

通称:ユナ

年齢:二十七歳

性別:女

種族:人間

職業:無職

魔法:不明

能力:不明

肌:肌色(ブルベ系)

髪:ロング(黒色)

目:焦茶

身長:百六十cm位

体重:五十kg位

バストサイズ:Dカップ

足の大きさ:二十三cm

その他:リヴ達四人の恋人、リヴの主人

――――

名前:リヴィルス

通称:リヴ

年齢:不明

性別:不明

種族:スライム

職業:暗殺者、召喚士

魔法:不明

能力:外見習得、機能習得、能力習得

擬態:ダークエルフ、ゴブリン

肌:水色

髪:―

目:◉

身長:変幻自在

体重:変幻自在

その他:ユナの恋人の一人、ユナの使い魔

――――

名前:アヴィラズ

通称:不明

年齢:三百二十歳

性別:男

種族:エルフ

職業:魔法剣士

魔法:不明

能力:不明

肌:透き通る白色

髪:ウルフ(銀色)

目:翆色

身長:百八十cm位

体重:七十kg位

足の大きさ:二十六cm

その他:ユナの恋人の一人。リヴを気に入っている

――――

名前:イヴェリザ

通称:不明

年齢:千歳以上

性別:男

種族:悪魔(高位)

職業:司教(自称)

魔法:不明

能力:不明

肌:血の気の無い蒼白い肌

髪:ボブカット(真紅)

目:真紅

身長:百六十cm位

体重:五十kg位

足の大きさ:二十四cm

その他:ユナの恋人の一人、蛇のような舌

――――

名前:ウエンディル

通称:不明

年齢:二十七歳

性別:男

種族:人間

職業:騎士

魔法:不明

能力:不明

肌:少し浅黒い肌色、髭面

髪:長髪(金色)

目:碧眼(右側が隻眼)

身長:百九十cm位

体重:九十kg位

足の大きさ:二十八cm

その他:ユナの恋人の一人、昔魔王に恋人を攫われた

――――

名前:田中有紗 ふりがな:たなかありさ

通称:アリサ

年齢:二十八歳

性別:女

種族:人間

職業:悦楽の園クレムパイズ所属の娼嬢

魔法:不明

能力:製薬。調合。薬の知識。

肌:白めの肌色(イエベ系)

髪:揃った前髪のロング(黒色)

目:焦茶

身長:百六十五cm位

体重:五十kg位

バストサイズ:Eカップ

足の大きさ:二十四cm

その他:ウエンディル、ユルハの親友。ユナと同じく日本からの転移者

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