表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/13

第五話 『街』


 街の入り口の両脇に聳え立つ監視塔が見えてきた。


 さっきまで本当に大変だった。

 街へあと少しと言う場所で、三人組と一悶着起きたのだ。


 それが理由で、私とリヴくんの仲に…亀裂が入りかけた。

 ありのまま全てを三人組に話すと、理解してくれた。

 すると、街まで同行するだけの三人組が、仲間になった。


 今の私の仲間達はと言うと…。

 無職の人間女の私を除いて、変幻自在のスライム、魔法剣士のエルフ男、騎士の人間男、司教の悪魔男。

 こんな感じで…全て違う種族だ。


 しかも、リヴくんが暗殺者のダークエルフを倒していた事が判明し、それに擬態できるという話で…もう大盛り上がりだった。

 私が服を買えたら、早速…リヴくんはダークエルフの暗殺者になるようだ。


 「ユナさん?ほら、あそこが商業と歓楽の街ユルシェドだ。」


 「て言うかさ?ユナさん入れるのか?よその世界から来たんだろ?」


 「『状態表示』使えますかねぇ?」


 アヴィラズさん、ウエンディルさん、イヴェリザさんがそれぞれ別のことを喋り出した。


 「はい!!『状態表示』使えます!!」


 とりあえず重要そうだったので私は、イヴェリザさんの話にのってみた。


 「今誰でしたっけ?パーティリーダーは??」


 「ん?俺だ。ああ!!そうか、ユナさんとリヴをパーティに入れようか。」


 ――ピロン!

 ――「新着メッセージ」

 ――「ウエンディル さんから パーティ の招待が来ています。」

 ――「承認しますか? はい/いいえ」


 と言うか…リヴくんと今までパーティ組んで居なかった。

 結構、そのショックが大きかった。


 ――ピッ!

 ――「ウエンディル さんの パーティ に加入しました。」


 「正式に、宜しくな?って…マジかよ!?ユナさん、俺と同い年なのか?!もっと歳下かと思ってた。スゲェ親近感わいたぜ!!」


 もっと歳上のお兄さんだと思ってた…とか言えない。

 でも…良いな。


 「因みに、アヴィラズこう見えて三百二十歳だからさ?でもあれか、イヴェリザとか千歳超えてるからなぁ…。」


 何十人、何百人の女性達と情を交わしたんだろう…。


 「個人情報漏洩ですねぇ?ウエンディルは、困ったものです。ほら!ユナさんが困った顔されてますよ?私、何人目なんだろうって顔を…ね?」


 「じゃあ、行こう。」


 全く意に介さない感じなアヴィラズさんが、街の入り口の左右にある監視塔に近づいて行った。


 「おーい!アヴィラズ?待てよ!!」


 私達はアヴィラズさんの後を追って歩いていった。


 「守衛?ここを通るが良いか?」


 「その女はどんな理由でこの街に入るんだ?仕事探しか?」


 「そうだ。金に少々困っているようでな?」


 えっ?

 仕事探し?!

 歓楽とあるので…飲み屋さんとかあるのだろうか?

 バーのウエイターならアルバイトした事があった。


 「お姉さん、なかなかの上玉だなぁ?それなら、幾らでも稼げるだろうよ?働く店、決まったら教えてくれよ!!お姉さんの居る店なら、絶対行くぜ?よしっ、通っていいぞ!!」


 ――ギイイイイイイイイッ…


 商業と歓楽の街ユルシェドへの門が開き、私達は街の中へ入ることを許された。


 「マジで、ユナさんはさぁ?この街でひと稼ぎしてった方が良いかもなぁ?」


 「ユナさん?私も…お客としてお店、顔出してあげますよ?働かれてみたら如何ですか?」


 私達は、門をゆっくりとくぐりはじめた。

 歩きながら、ウエンディルさんとイヴェリザさんに、この街のお店で働くように…猛プッシュされてしまった。


 「二人はそう言うんだけど…。リヴくんは、どう思う?」


 「ユナさんの服と靴が幾らかかるかだよね…。値段によっては、ボクのお金無くなっちゃうから…。」


 確かに…。

 ひとまず魔王達を倒すまで、私とリヴくんの婚約は白紙になっている。

 これからの食事代や宿代、それに…装備を買うお金も必要になる。


 そうなると…やはりお金はあった方がいい。

 とりあえず、服屋さんに行ってからだ。

 そこでの結果で…私がどうしたいか伝えようと思う。


――――


 門を抜けるとそこは、近代都市でよく見る街そのものだった…。

 例えて言うなら…新宿と渋谷を足して割った感じだ。


 街のど真ん中には大通りが南北に真っ直ぐに通っている。

 大通りを起点に碁盤の目のように道が縦横に延びていた。


 更に、大通りを挟み、左側が繁華街、右側が歓楽街と分かれているようだ。

 因みに大通り沿いには、宿屋、銀行、冒険者ギルド、等主要な店が立ち並んでいるのが見える。


 「この大通りの突き当たりに、領主の館があるんだ。」


 アヴィラズさんが急に喋った。

 掴みどころなく、急に反応したり急にスルーしたりする。


 「歓楽街にですが、領主本人や息子が店を利用する姿が、度々目撃されてるようです。なので、ユナさんは働きはじめたらですが、くれぐれも見初められないように、気をつけて下さいね?」


 イヴェリザさんは丁寧に教えてくれるので助かっている。

 恐らく皆は、私がお店で働く事前提なのだろう…。


 「じゃあ、ユナさんは服見ておいで?俺たちは一度、冒険者ギルド行って、洞窟の件報告してくるからさ?んじゃ、終わったら、あそこに見える宿屋の前集合にしようか?俺らの常宿だからさ?」


 「はい!!では、皆さんまた後で!」


 ウエンディルさん達はそう言うと、冒険者ギルドの方に向かって通りを歩き始めていた。


 「リヴくんは…服屋さんに行った事ある?」


 「あるよ?そのお店、行こっか?ユナに似合いそうな服多いんだよね。」


 そうとなれば善は急げで、私もリヴくんに案内してもらいながら、その服屋さんに向かって歩き始めていた。



――――



 ――ギィィィッ…

 ――カランカラン…


 服屋につくと扉を開け、お店の中へ私は入っていった。


 「いらっしゃいませ!!」


 店内に入ると中々センスのいい服が沢山目に入った。

 全てハンガーみたいなものにかけられて陳列されている。


 どの服も、金貨六十以上の値札がかけられていた。

 店に入る前にリヴくんから、金貨百枚あると渡されているので、それ以内に収めなければいけなかった。

 靴も、と見ると…こちらも金貨三十枚以上の値札がかけられている。

 服と靴を買ったら…リヴくんのお金はゼロに近くなる…。


 やはり私は…歓楽街のお店で働いてお金を稼がなくてはいけない事が確定した。


 「これと…これ…試着する事、出来ますか?」


 「いえ。当店では服の試着はお断りさせて頂いておりまして…。申し訳ございません。ただ靴に関しましては可能でございます。」


 お高い服だからなのだろうか?

 それとも、私が…一見さんだから?


 「あれぇ?この店、試着可能だよぉ?お姉さん、僕が保証するよ!!」


 「エ、エスデンド様?!申し訳ございません…。」


 誰だろう…。

 人間の男性にしては背がかなり低い…ドワーフだろうか?

 外見はと言うと、肌色の肌、ショートモヒカンの黒髪、焦茶の瞳、憎めない顔立ちで、全体的にかなりぽっちゃりしているが、身なりはかなり良い若者だ。

 急に謝るくらいだ…権力者の子供だろうか…。


 「駄目だよ?初めて来るお客さんでも、冷やかしじゃなくて、本当に欲しい方だって居るんだよ?このお姉さん服と靴持ってるじゃない?ね?」


 「大変失礼いたしました!!領主様にはこの事は…どうか…。」


 「普段ならここで、即お仕置きさせて貰うんだけど。お姉さんの前だし、僕格好つけちゃうね?今日は、僕来なかった事にするから。と言うか、次は無いよ?早く、お姉さんに試着させてあげて?」


 ここに来る前、気をつけろと言われた、領主の息子だ…。


 「エスデンド様、ご慈悲賜り感謝致します!!」


 私にウインクすると店から出て行ってしまった。


 「どうぞ…ご試着くださいませ。」

――――

この話の主な登場人物

――――

名前:望月結奈 ふりがな:もちづきゆな

通称:ユナ

年齢:二十七歳

性別:女

種族:人間

職業:無職

魔法:不明

能力:不明

肌:肌色(ブルベ系)

髪:ロング(黒色)

目:焦茶

身長:百六十cm位

体重:五十kg位

バストサイズ:Dカップ

足の大きさ:二十三cm

その他:リヴ達四人の恋人、リヴの主人

――――

名前:リヴィルス

通称:リヴ

年齢:不明

性別:不明

種族:スライム

職業:暗殺者、召喚士

魔法:不明

能力:外見習得、機能習得、能力習得

擬態:ダークエルフ、ゴブリン

肌:水色

髪:―

目:◉

身長:変幻自在

体重:変幻自在

その他:ユナの恋人の一人、ユナの使い魔

――――

名前:アヴィラズ

通称:不明

年齢:三百二十歳

性別:男

種族:エルフ

職業:魔法剣士

魔法:不明

能力:不明

肌:透き通る白色

髪:ウルフ(銀色)

目:翆色

身長:百八十cm位

体重:七十kg位

足の大きさ:二十六cm

その他:ユナの恋人の一人。リヴを気に入っている

――――

名前:イヴェリザ

通称:不明

年齢:千歳以上

性別:男

種族:悪魔(高位)

職業:司教(自称)

魔法:不明

能力:不明

肌:血の気の無い蒼白い肌

髪:ボブカット(真紅)

目:真紅

身長:百六十cm位

体重:五十kg位

足の大きさ:二十四cm

その他:ユナの恋人の一人、蛇のような舌

――――

名前:ウエンディル

通称:不明

年齢:二十七歳

性別:男

種族:人間

職業:騎士

魔法:不明

能力:不明

肌:少し浅黒い肌色、髭面

髪:長髪(金色)

目:碧眼(右側が隻眼)

身長:百九十cm位

体重:九十kg位

足の大きさ:二十八cm

その他:ユナの恋人の一人、昔魔王に恋人を攫われた

――――

名前:エスデンド

通称:不明

年齢:不明

性別:男

種族:不明

職業:不明

魔法:不明

能力:不明

肌:肌色

髪:ショートモヒカン(黒色)

目:焦茶

身長:百五十cm位

体重:八十kg位

足の大きさ:二十三cm

その他:街ユルシェドの領主の息子

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ