第一話 『出逢い』
私、望月結奈は今…。
人生の伴侶探しに大忙しだ。
スマホのマッチングアプリが主なんだけど…。
なかなか、ピンとくる人とマッチングしなかった。
年齢は二十七歳。
職業は事務職。
身長は百六十cm位。
体重は五十kg位。
バストサイズはDカップ。
足の大きさは二十三cm。
視力は良い方。
彼氏いない歴は半月。
プロフィールはこんな感じでしょうか。
彼氏いない歴については…。
結婚しようねと付き合っていた彼と、四年目の記念日の前日に別れた。
そう、半月前に。
でも、ウジウジしてたって始まらない!!
と…始めたのが、行きつけの喫茶店で…コーヒーを一杯いただく事。
私の事、一番に想ってくれる人との…良い出逢いがありますように…と願って。
今、行きつけの喫茶店に出掛ける前に、お風呂に入ろうとしている所だった。
さて…。
着ていたパジャマを脱いだ…。
下着を脱いだ…。
そして、私はお風呂場の扉を開けた…。
シャワーを手に取ると…ハンドルを回してお湯を出した…。
シャワーで身体を上から下まで軽く洗い流した。
昼間から入るお風呂は、最高と思いながら、湯船に足から身体を沈めていく…。
全身がお湯に包まれた…。
気持ちいい…。
そう思って、私がウトウトし始めた時だった…。
身体がお湯から出た感覚が一瞬した…。
次の瞬間、目の前が真っ暗になって私は意識を失った。
――――
どこかに横たわっている…。
私の身体、冷たくて冷んやりする…。
それに、何かが身体を這う感覚もする…。
「あの…?人間のお姉さん?」
更に、誰かが私に声をかけている事に気づいた…。
恐る恐る…私は目を開けた。
暗い…。
洞窟のような場所…:
灯りはと言えば、少し奥の方で焚き火のような火が見えた…。
そうだ…。
それより、私は無事なのか…。
ふと、身体に目をやる…。
私の身体は…さっきお風呂に入っていた、裸のままだった。
一つの事を除いては…。
「えっ…?!一体…何!?」
思わず…私はビックリして声をあげてしまった。
「ボクはスライムです。」
そう、私の身体はスライムのようなもので…胸から下腹部にかけて覆われていた…。
「私の事…食べる気??」
「いいえ。ボクは人間のお姉さんと結婚したいだけです。」
この人語を喋るスライムの言っている意味が…理解に苦しんだ。
「えっと…。スライムさんは、私と結婚したいの?スライムのアナタが人間の私と?!」
「はい!!ボクはお姉さんと結婚したいんです!!」
どうやらこのスライムさんは本気のようだ…。
「スライムと人間の場合、子供とかは…どうやって作るのかな…?」
スライムさんに私は身体を覆われたこの状況…。
無碍に断れば…私は殺されかねない状況なのだ…。
双方が納得出来るように、スライムさんを質問攻めにしてみる事にした。
「ボクが人間の男性を倒せば…その人間の全機能や能力を習得できます。そうすれば、習得した人間の生殖機能をボクが使い、ボクとお姉さんとで人間の子供を作る事が可能です。」
子供を作る事が可能なのなら、スライムさんでも有りかも…と私は思ってしまった。
「あ、でも。ボクは悪いスライムじゃないです!!なので…良い人間は倒せません。」
このスライムさんは、ロールプレイングゲームで言うところの、勇者側のモンスター的な感じなのだろうか。
「じゃあ…スライムさんの思う、悪い人間って誰なの?」
「魔王達ですね。彼らは…悪い人間です。」
やっぱり…。
「という事は…スライムさんとの人間の子供が欲しければ、魔王達を倒さなければいけないって事?」
「そうですね!!人間の子供に限定されなければ、色んな種類の人型の種族は居ますので。」
妥協すれば、その種族の悪い奴を倒せば良いって事なのだろう。
「じゃあ、スライムさん?スライムさんが人間の姿を手に入れられたその時、私と結婚しましょう!!」
「はい!!二人で頑張って…魔王達を倒しましょうね?それまでの間、ボクは…お姉さんの恋人という扱いでも良いですか?」
今、二人で頑張って…と、このスライムさんは言った。
しかも、いきなり恋人にされてしまうのは…私の心の準備が出来ていなかった。
「色んな面でお姉さんの事…ボクは後悔させません!!」
「少し…相性みさせていただいても良いですか?」
大人の私の恋人にスライムさんがなるのならば、大人のつきあいもして貰わなければ困ると思った…。
「はい。では…いきますね?」
――――
「お姉さん?大丈夫ですか?」
スライムさんとの相性はバッチリで…大満足だった。
と言うか…人間以上だった。
「はい!!あの、私の名前はユナです。スライムさん?末永く宜しくお願いします。」
「やったぁ!!人間のお姉さんを恋人に出来ました!!」
もしもスライムさんの中で、ゲームの実績解除的な感じなら凄く嫌なのだが…。
「そう言えば…ここ何処なのですか?スライムさん。」
「あの…ですね?お恥ずかしながら…この場所がボクの棲家でして…。」
言われて見れば、洞窟の中なのに綺麗にされている。
「向こうに見えるのは…焚き火ですか?」
「あれは…。ユナさんを召喚するのに使った…召喚用の魔法陣の跡ですね…。」
このスライムさんが、私を…召喚した?!
「この世界のスライムさんは、召喚魔法も使えるのですか?」
「いえ…。普通のスライムは使えないと思います。」
先程スライムさんが言っていた、倒した相手の能力を習得出来ると言う話に繋がるのだろう。
「なら…スライムさんは、誰かを倒したんですね?」
「そうです!この洞窟に入ってきた…悪いゴブリンの召喚士を倒せたんです!」
そして、自らの欲望を叶えようとした…。
そんなところだろうか。
「ボクは…ずっと独りで寂しくて…。誰かと結婚出来れば…この寂しい気持ち消えるかなって…思ってたんです…。」
スライムさんの寂しい気持ちはよく分かる…。
私もそうだから…。
「それで、得た召喚士の能力を使ったんですね?」
「はい…。ボクは人間のお姉さんを見かける機会が多くて…。もし、お嫁さんに出来るなら…人間のお姉さんが良いなって…。」
「スライムさんが、私に話しかけたみたいに、見かけた人間のお姉さんに…声掛けたりしなかったのですか…?」
気になってついつい聞いてしまった…。
「怖がって、話をする前に…逃げられたり、武器を向けられたりで、ボクが疲れてしまい…。それなら、召喚して現れた隙に、お姉さんの身体を包み込んでしまえば…と思いつきまして…。」
ここに辿り着くまでに、色々と苦労した事が話し方から窺えた。
「大変苦労されたのですね…。そう言えば、私は…スライムさんの使い魔…ですよね?」
「いいえ。『主人召喚』で“人間のお姉さん”とだけを願いました。」
話が全く見えない…。
「私が…スライムさんのご主人様なのですか?」
「はい!!ユナさんは、ボクの婚約者であり、ご主人様でもあります。本来、主人召喚は悪魔など上位種を呼び出す…奥の手です。使えば…戦況は逆転する場合が多いですが、召喚した本人は結局…。」
奥の手という意味は、大体理解できた。
故に、ゴブリンのような召喚士でも扱う事が出来るのだろう。
呼び出した者負けなのだから。
そう言えば気になっていた事があった。
「あの…?スライムさん。名前って…あるんですか?」
「無いです。名付けて頂けるんですか?!」
「なら…今日からスライムさんは、リヴィルスですよ?」
――ピロン!
――「新着メッセージ」
――「スライム に名前 リヴィルス を命名しました。」
「わぁ!?何ですか!?目の前に新着メッセージって表示が!!」
「えっ?!ユナさん…それ普通です!!」
この世界…案外凄い技術かもしれない…。
この異世界の洞窟の中から始まるのは…。
人間のお姉さんと結婚したいスライムに召喚された私は付き合う事になった話。
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この話の主な登場人物
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名前:望月結奈 ふりがな:もちづきゆな
通称:ユナ
年齢:二十七歳
性別:女
種族:人間
職業:事務職
魔法:不明
能力:不明
肌:肌色(ブルベ系)
髪:ロング(黒色)
目:焦茶
身長:百六十cm位。
体重:五十kg位。
バストサイズ:Dカップ。
足の大きさ:二十三cm。
その他:リヴィルスの婚約者にして主人。
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名前:リヴィルス
通称:不明
年齢:不明
性別:不明
種族:スライム
職業:不明
魔法:不明
能力:外見習得。機能習得。能力習得。
肌:水色
髪:―
目:◉
身長:変幻自在。
体重:変幻自在。
その他:ユナの婚約者にして使い魔。