前編
※この作品は武 頼庵(藤谷 K介) 様主催の『第3回初恋企画』参加作品です。
安心安全な“しろかえで”プレゼンツのラブコメ(になるといいなあ……)でございます。
あ、かわいいイラスト付きです。♡
イラストは“加藤さん”
私が描いた『過去画』をAIに描き直してもらいました。
『サクラサク』の季節からひと月あまり……
高校で遠足なんて、なんか笑っちゃうけど、実は普通にあるらしい。
社会科見学的なものから研修を主目的にしたもの、それから今日、私達が行くみたいにBBQやレクリエーションがメインの入学直後のクラスの雰囲気づくりを目的としたものなど多様だ。
なんて偉そうな事を言ってる私自身がモブ子ちゃんで……まずは今日の班のメンバーと上手くやりたいと思っている。
班は男女二人ずつで女の子は私の他に藤田さん。男子は大宮君と山口君。
藤田さんは柔らかな髪と笑顔がとても素敵なお姉さんタイプで、ついこの間までクラス委員代行をしていた。“代行”と言うのは先生から任命された(つまり入試の結果が◎の人)クラス委員が決まるまでの臨時職でクラス委員選挙と共に、その任を解かれた。
選挙結果の『正』の字を書き終え、選出された矢野さんと交代して席に戻って来たカノジョのホッとした顔を見て斜め後ろの席の私は、なぜか親近感を覚えたのだ。
山口君は同中の子だけど中学の時はクラスが違ったので、物凄く足が速い他は殆ど知らなかった。
もっと“暑苦しい”人なのかと思ったけど、席が近くになって気さくに話ができる爽やか系の人だ。
で、大宮君は高校入学と同時に埼玉からこっちに来た子で私と同じモブ系だ、アタマ(勉強の出来は無く)を除いては……
なんてぼんやり夢想していると……
「次の次は加藤さんだから曲、リクエスト入れておいてね」とカラオケアプリが立ち上がっているタブレットが回って来た
ええええ!!!
今は目的地の“プレジャーフォレスト”へ向かうバスの中、クラス委員の気まぐれか、いきなり4人飛ばしのご指名だ! なんで??
どうしよ、どうしよ“マカロニえんぴつ”のあの曲なら……でもやっぱり無理無理無理無理!!!!
「あ、オレ この曲唄える」
“通路”を挟んだ斜め後ろから大宮君の声がした。
「へっ?!」
大宮君は私の手からタブレットを取り上げて立ち上がった。
Sumikaの曲にノリノリになっていた吉田君がやんやの喝采を浴びた後だったので、もじゃもじゃ天パの大宮君のアタマはますます浮いた感じだ。
「お!次、コウノスが歌うの?!」
“コウノス”とは口の悪い男子達が付けた大宮君のあだ名だ。
別に大宮君は鴻巣出身じゃないのに……
「でもコウノトリの巣って、あんな感じだったりもするのよね」
と私達女子も笑ってしまったので、人のことは言えないのだけど……
そうこうしていると長いケーブルのくっついたマイクが大宮君の手元にやって来た。
「いったい何を唄うのだろう??」
アタマ以外はいつもモブな大宮君に先生までもが興味深々だ。
でも、当の大宮君は国語の時間に先生から当てられて教科書を読むみたいな体で左手に持ったタブレットを右人差し指でタップする。
途端に流れ出す“昭和??歌謡風”のイントロ!!
一瞬にしてバスの中が凍り付く中、とうとうと歌い上げる大宮君…
その歌詞は徐々にクスクス笑いを誘い……最後はみんなしてギャハギャハ!!
そんな事にはお構いなしに唄い終えた大宮君は、次の番の増田君にマイク渡したけど、増井君、しばらく悶絶して歌えなかった。
後で加藤さんから教えてもらったのだけど、その唄は、やっぱり昭和の唄で……『割と最近に“翔んで埼玉”という映画の挿入歌として使われて、知ってる子もいたよ』との事だった。
前編 おしまい
明日も頑張って書きます<m(__)m>
ラブコメってガチで難しい!!!
意味わかっていただけるかしら……(^^;)
ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、いいね 切に切にお待ちしています!!<m(__)m>