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社畜OL、転生する

佐藤和菓は、ブラック企業に勤務するOL。


ここの所、休みもなく残業の日々。

その日も日付が変わろうかという頃に帰宅した。


「はぁ、疲れた…。こんな筈じゃなかったんだけどな…。」


和菓は、今の企業へ中途採用で入った。

まさか、残業代も出し渋る会社だとは知らずに…。


「こんなに働いても、残業代なしって何なの…。はぁ。」


溜息しか出てこない。


「皆に、ご飯あげなくちゃ。…よし!」


和菓は、疲れた身体に気合を入れてから、飼っているペットたちのご飯を用意した。

犬のあんこ、猫のきなこ、インコのピッピ。2匹と1羽の世話をしていると元気になれる。


「癒やされる。私は、貴方達の為に頑張るよ~。」


ひと通り終わると、ソファに横になった。


「もう、お風呂は朝でいいや…。」


そのまま、目を閉じた。





「んー!良く寝た!さてと、あんこの散歩行こう…っと!?」


身体に、違和感を感じる。

足が、手が…小さい?


「何で…?」

「サリーナ様。目が覚めましたか?只今、お医者様をお呼びいたしますね。」


女性にホッとした様な顔で話しかけられる。


誰だ、この女の人?

サリーナって…?


考えている内に、白衣を羽織ったおじいちゃんがやって来た。

見た目からしてドクターだと分かる。


「さて、具合はどうですかな。」


黙って診察を受けるが、まだ状況の理解はできていない。


「大丈夫そうですな。」

「あの…。」

「いかがされましたか?」

「これって、どういう状況でしょうか?」


思い切って聞いてみた。


「外出中に、お倒れになったのだそうですよ。それから、3日ほど目を覚まされませんでした。」


え?私、家に居たよね?どういう事?


「サリーナ様。倒れた事を覚えてはいませんか?」

「全然…。それに、私はサリーナというのですか?」

「「!?」」


先程の女の人とドクターは驚いた様子で、小声で何か話してから、女の人だけ部屋から出ていった。


「いくつかの質問をさせてください。」


ドクターに言われ、頷く。


「お名前は?」

「分かりませんが、先程からサリーナと呼ばれていますよね?」

「そうですね。おいくつですかな?」


28…のはずないわよね。この手と足じゃ…。


手と足を見つめて、答えられずにいると、ドクターは次の質問に移った。


「ここはどこですか?」

「どなたかの、家?…病院?」


バタバタバタ

バタン!


質問に答えていると、大きな音と共に部屋の扉が開いた。


「リーナ!」


男の人が入って来た。


「侍女から話は聞いた。ワトー医師!」

「やはり、記憶喪失でしょうな。」

「なんてこった…。」

「しかし、受け答えはできていますし、生活については大丈夫そうですな。」

「そうか。……君はサリーナ。私の娘だ。分からない事は何でも聞きなさい。」

「はい。ありがとうございます。」

「!?」


父親は驚いた顔をした。


何?なんか変だったかな?


そして、話を聞いて分かった事がいくつかある。


私は、サリーナ·スウィンティー、3歳。

父親と、兄がふたりいる。母親は私が1歳の時に亡くなったそうだ。

薄情なのかもしれないが、覚えてないから寂しいとかは感じない。


そして、この世界には魔法がある。

とは言っても、ズガーンドカーンみたいな魔法を使える人は極少数で、生活にちょこっと使う程度の物らしい。


それでも、魔法が当たり前に使われている事に私は感動した!私は話を聞いてすぐに使ってみたが、使えなかった。

落ち込んでいると、侍女に声をかけられる。


「サリーナ様はまだ3歳ですから、これからですよ。」


この侍女はメル。私の世話係だそうだ。


そう!びっくりした事はもう1つ!

私、公爵家の娘でした!


…って、漫画じゃん。

私の身にこんなことが起こるとは…。

現実?夢?


……………現実なんだよね。

あんこ、きなこ、ピッピ…。

あの子達大丈夫かな?


頭の中でぐるぐる考えが回る。それに伴って表情も変わっていたのだろう。

メルが心配そうに見ているのに気付いた。

サリーナは、メルと目があい、にっこり笑う。

すると、メルもホッとした様に笑い返した。


「サリーナ様。そろそろお兄様達がお帰りですよ。」

「はい。」


もうすぐ学校へ行っていた兄達が帰ってくる。


どんな人だろう。

優しい人達だと良いな。




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