異世界のアフレクションネクロマンサー447
そこで、二人の物語は終わり、そこで、二人の道は閉ざされる…それが、本来の終わり方……
「銃を……」
「銃を?」
二人から銃を受け取り、
「君達が、こっちに来るには、まだ早いかな」
「先生!?」
「何を!?」
受け取った銃の砲身を地面に付けて、足で踏みつけると、銃を使い物にならないようにする。
これは彼等らの武器、彼等の力……それを分かっているからこそ、
「銃があったら、君達は私を助けようとするでしょ?」
「そんなの当り前じゃないですか!!」
「ありがとう……」
彼等を巻き込む訳にはいかない。
「これから何が起きるって言うんすか!?」
「何が起きる……」
その質問には、少し頭を悩ませる。
争うというのだから、何かを得る為に戦う事になるのだろうが……
「少し…それは違うか……」
ニュアンスが少し違う…生きる為に、未来を掴む為に……それは合っているのだが、その答えが百点満点かというと、そうでは無い。
もう少しだけ、見る視点を変えれば、求める答えに繋がるのだが……
「選ぶ…」
その時、頭の中で先生の最期を思い出す。
命の螺旋の中を、駆け抜けた先生は、異世界への扉を開く鍵となったが、
「生み出す……」
それと同時に、希望となる者達を紡いで欲しいと願っていた。
だとしたら、この戦いは……
「守ってあげて欲しい……」
「えっ……」
「何を……」
「この世界に産まれる…世界を護る力を持つ子達を、守ってあげて欲しい」
この子達の、英雄になる運命力を次に繋いだのは、きっとその為。
「それは……」
「どういう意味すか!?」
「もう行かなきゃ」
彼等には、まだ聞きたい事も、まだ話したい事も沢山あるかもしれないが、
「まだ答えの出ていない、答えだからさ…後は任せたよ」
まだ出ていない答えには、答えて上げられない。
二人を背にして、ドラゴンが向かった、オレンジの液体が満たされた方へと向かうが、
「「先生!!」」
二人が、私の事を呼んで追い掛けようとするので、
「二人からの力は、もう貰ったから大丈夫だよ」
最後にもう一度だけ振りむいて、二人を拒むように手をかざす。
「どうしても…ダメなんですね……」
私の、どこまでも変わらない拒否する姿勢に、二人はこれ以上は迷惑になると察して、
「…行ってらっしゃい」
「うん…行って来るね」
最期の、お別れの言葉を掛けてくれるのであった。




