異世界のアフレクションネクロマンサー445
私達が手にした力こそが絶対で、決して誰にも手を出せないという慢心……その慢心が調和という考えを生み、
(先生が遺された「支配」しろというのは…文字通りだったのですね……)
その強い言葉と、優しい先生のイメージが相反していたが為に受け入れらず、私の都合の良い解釈をしてしまったのも、物事を悪い方へと拍車に掛けた。
「調和」は確かに心地良く、私を賢者のように思わせてくれていたが、「調和」による被害は予想だにしていなかった事態を起こした。
力の漏洩に、技術の進歩……それが、どれだけ恐ろしいかは、先生と共にいた私には嫌という程に分かる。
海を越えるという命懸けの行為が、当たり前のように出来るようになり、剣が銃と成り代わって猛威を振るう……
世界は一変してしいく…恐ろしい程の早さで……今日という日が終わり、明日という日が始まるという短い時間の中でも、世界は成長していく……
「まぁ…私は、お前をなじっているが、相手の事は言えないな……我々ドラゴンもまた、圧倒的な力を持ちながら他の種を見下し、成長をしようとしなかった……その結果がこの事態を生んだとも言える」
そう、ドラゴンにも反省すべき点はある。
人という明らかに、他の種と違う生き方をしている生き物を警戒せずに、時間を過ごした。
中には、人間に狩られるドラゴンもいたのに…それを間抜けと評さずにさえいれば……
いつの日か、自分達の聖域に辿り着く者が現れるかもしれないという、想像力あれば……
「もう終わってしまった……ドラゴンが世界を支配するだけの圧倒的な力が、今ではそれなりの力……お前が手にした、世界を支配する圧倒的な力は、標準的な力になっていく……」
ドラゴンは、この先に訪れるであろう、力が蔓延した世界を見ている。
自分達の力で、ドラゴンが世界を統一した世界でも、目の前の男が力で世界を支配した世界でも無く……各々が力を持つ事で、多種多様な国が産まれ、様々な争いが生まれていく……
「けれど…それと同時に可能性も生まれる……私は選択を間違えた……しかし、私一人の間違い等、越えてみせる力を、人は持っている!!」
それは信じる事。
各々が力を持つ事で、多種多様な国が産まれ、様々な争いが生まれていくかもしれないが、それは同時に新たな多種多様な可能性も生まれていくという事。
全てが絶望へと向かい、全てが滅びへと向かう訳では無い。
多種多様な可能性は、希望と繁栄の道もあるのだ。




