異世界のアフレクションネクロマンサー443
雌雄が決すると、銃を持った雑兵達が銃口を上げる。
弾丸を喰らった者が地面に転がり、呻きながら苦しむ。
体の内部に弾丸がめり込んだからといって、即死する訳では無い。
体の中からの信じ難い痛みに七転八倒し、身動きを取ろうにも取れないでいる。
「あぁ……」
もう反撃する術を持たない者達に対し、後ろから細い槍を持った雑兵達が出て来て、地面に転がっている者達に止めを刺していく。
その光景は、私達にもやる事が出来た光景……しかし、私達はそれをしなかった。
先生が教えてくれた、大切な事を傷付けたくなかったから……力を見誤れば、多くの不幸が生まれると分かっていたから……
「力は所詮力なのだ。力が流出した時点で、想いは置いていかれる」
「うっ……」
何も反論出来ない……どうやって漏れたかは分からないが、もっときつく制限を掛けていれば、この人達はこんな死に方をしないで済んだ。
だが、不幸中の幸いなのは、戦闘機の姿が見えない事だ。
もしも、戦闘機の技術まで奪われていたら、それこそ取り返しの付かない……
「言っただろ…何で支配をしなかったと……記憶を過去に辿るぞ」
「えっ……」
ドラゴンは、私の胸中読んだのか、ホッとしている私に対して『支配』をしなかった事を、もう一度、咎めてから、もう一つの問題を見せる。
「これは…私の知らない……でも……」
頭の中に浮かぶイメージには、海に浮かぶ大きな船。
それ自体は昔からある物。
昔から貿易や、物資の運搬等に使われて来たのだから、大きな船というのは、私には関係無い話だが……
「でも…でも……」
その先を言いたくない……これは、私の漏らした力が……
「そうだ。お前が漏らした、戦闘機の技術から生まれた蒸気船だ」
戦闘機の力が使われている、大型船なのだ。




