異世界のアフレクションネクロマンサー442
「それが全てを狂わせた!!全てを間に合わないようにした!!」
「確かに色んな国に戦闘機、銃の技術は知られてしまったかもしれないが、それでも管理は出来ている。手遅れというのは……」
「ならば手をかざせ!!お前が無意識に口にした「世界」という言葉の意味を知ると良い!!」
ドラゴンが、オレンジの液体の方を指差す。
「……分かった」
私達は出来うる限りの、最善の選択をして来た。
圧倒的な力を持ち、全てを支配できる力を手にしたが、それでもその力で調和を願った。
争う者を力で抑えたが、決して、力でねじ伏せる様な事はせずに……
「これは……」
先生から受け継いだ力を、正しく扱ったはずなのに……
「ここは…どこだ……」
オレンジの液体から通して感じる、見知らぬ遠い国。
「意識を潜り込ませろ。それは液体が共有している記憶だ」
それは海を越えた先にある国、我々とは違う人が住んでいる。
そこの人間は、肌がオレンジ色というのだろうか…少し濃い色をして、顔付も平たく……それに、来ている鎧も全く違う。
鉄で出来ていると一目で分かる、私達の銀色の鎧に対し、向こうの国の鎧は赤や青の布を固めたような、装飾を着飾っている。
「戦争をするのか……」
その物々しい姿をしている人物に率いられて、鎧を着ていない雑踏兵が長蛇の列を作っている。
「それは、戦争が始まる前。見るべきなのは先の方だ」
「先の方…………なぜだ!?なぜ、この人間達は銃を知っているんだ!!」
ドラゴンの言葉に導かれて、先の方の記憶を辿ると、そこには銃を構えた雑兵が、敵軍の、細身の剣を抜いて、突撃してくる雑兵を撃ち抜いている姿が見えた。
あまりにも一方的な虐殺。
銃の性能は、我々が使っているものとは比較にならないような陳腐な物だが、それでも、銃を持たない相手には十分過ぎる力。
銃を撃たれた雑兵達は、悲鳴を上げて踵を返して逃げ出すが、次々と人が地面に転がっていく……
「止めろ!!もう決着は付いている!!」
そこには、調和を求める姿は無い。
そこにあるのは、圧倒的な力を持って相手を殺していく姿だけ。




