異世界のアフレクションネクロマンサー436
「くっ!!」
服にしがみついた赤い猫が、体を登ってくるが、
『ビチャン!!』
黙って見ているつもりは無い。
手刀で赤い猫を叩き落とせば話は済む事、狙いを付けて手を上げて……
『ジジジジ……』
狙いを付けて手を上げている間に、服が焼ける。
服から白い煙が登って、甘い匂いが包み、
「ちょこまかと!!」
一秒毎に状況が悪化していく。
「こちとらクッキーか!!」
手刀を打ち下ろして来る悪辣な相手でも、赤い猫は甘えたいと縋り付き、叩かれないように足の裏に、背中に回り込もうとするから、満遍なく体が焼けていく。
このままでは、窯の中で美味しく作られているクッキーのように焼けてしまうが、
『『『タタタタタッッッ!!!!』』』
「そんなに抱き着くな!!消し炭になっちまうぞ!!」
これ以上赤い猫に抱き着かれては、美味しく作られているクッキーが台無しになってしまう。
「美味しいクッキーの焼き方教えてやるから離れな!!」
全くもって、料理の腕がなっていない。
小さな子供が、美味しい料理を作ろうとして、ガンガンに薪をくべて火を強めてしまうように、火加減がでたらめだ。
でたらめな火加減は素材を台無しにしてしまう。
『ジジジリジリジリ!!!!!!』
(ほらっ…言わんこっちゃない……)
服が焼けて、皮膚が焼ける。
赤い猫の爪が皮膚に届いて、鋭い痛みが走る。
次々と甘えて来る赤い猫に耐え切れずに、地面に体を押し付けて転がる。
それは、服に引火した時の鎮火術。
飲食店の手伝いで真っ先に習った事。
周りに水が無い時は、地面に転がって火をもみ消せという教え。
体中に縋り付く赤い猫を潰しながら、火を消す。
これはまさに一石二鳥。
赤い猫を潰しながら、火を消せる。
背中に回り込まれたとか、太ももの裏に隠れられたとか関係無い。
体に纏わり付いていた赤い猫は潰され、服には赤い猫のじゃれついた後、破けた服からは赤く腫れた皮膚が露出する。
「くっ……」
(良い方法を見付けた……赤い猫にじゃれつかれたら地面に転がれば、対処出来る……これなら……)
『『『タタタタタタタタタタッッッ!!!!!!!!』』』
これなら、赤い猫は対処出来るが、後から来ている赤いネズミには、こんがりと焼かれてしまうだろう。




