異世界のアフレクションネクロマンサー431
煤けた微かな跡、それは鞭を振ったかのようにくねりながら、窓枠に続いている。
「入り込んだのかな?」
煤けた跡がどの窓にも、家の戸にも伸びているのは、そこから家屋に浸入した証拠。
「しかもだ。こいつらは、明確に獲物を狙っている」
歩いてみて気付いたが、白骨化した骨のほとんどが外に向かって、街から逃げ出そうとしたのか外に向かっている。
「何かに追われて…何かから逃げようとして……」
「殺された」
何かの何か、何があったのか、何を求めていたのか……それらはまだ、謎に包まれているが、
「先生が…覚悟を決めていたのは、この事たっだのかな」
「だとしたら、水臭ぇじゃねぇか……こんなの一人で、どうにかなるって話じゃねぇぞ」
もしかしたら、先生はこの謎に気付いていたのかもしれない。
先生が見ていたのはこの世界。
この生きる者がいなくなった世界、そしてこの世界を生み出した何かがいる世界。
その世界は、人類だけでなく全てを殺す……終末を呼ぶ生物だ。
ドラゴンを倒したと、一時の平和を手にした所で、この生物がいては真の平和は訪れない。
真に戦わないといけない敵がいる、その事実に胸が締め付けられて苦しくなるが、
「ドキドキしてたまんねぇな……やっとこ俺達の出番って訳だ」
「英雄になる為だもんね」
「あぁ」
締め付けられる苦しむを、ドキドキして高ぶると言う。
並みの人間なら、この時点で怖くなって逃げてしまうだろうが、二人は前へと進める。
自分達は英雄になる者達なのだから、恐れを覚えても前へと進める。
何かがいるこの街の中で、たった二人だが、最も信頼している人と共に歩み、
「さぁ…来てやったぜ。自己紹介位しな」
何かがいる場所へと、辿り着く。
そこは憩いの場の、大通りの大広場。
中央には枯れた噴水があり、そこにも、頭の無い白骨化した骨だけが散らばっているのだが、
「姿を隠さなくて良い、いるのは分かってる」
道中で見た骨は、外に向かって一直線だったが、この大広場にある骨は、噴水を中心に放射状に広がっているのだ。




