異世界のアフレクションネクロマンサー427
『ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!!!』
戦闘機の腹が削れて、腹から水がこぼれる。
戦闘機の血が、大通りに吸われていく。
ガタガタガタガタと体を揺らしながら、その身を地面に擦って速度を落としていくが、止まらない。
体感では、もう何百メートル、何キロも滑っているように感じるのに、止まらない。
『ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!!!』
自分達を、いつも無事に帰還させてくれた戦闘機を信じ、目を細めながらも、止まるその瞬間を待ち侘びていたが、
『ガッガガンッ!!!!!!』
止まる所か、戦闘機が宙に跳ねた。
機首の先が、何かに悪いぶつかり方をした。
走っていた人間が石に蹴躓いたように、前に吹き飛びながら、お尻が跳ねて裏返ろうとする。
このままでは裏返って、頭から地面に叩き付けられてしまう。
『まだ……!!!!!!』
滅茶苦茶な体勢で、重力に滅茶苦茶に引っ張られて、操縦桿が勝手に動く。
それでも、姿勢を整えようとするが、戦闘機は勝手に動き……
『バァッガァァン!!!!!!』
建物の壁に激突すると、聞いた事のある音が体の中に響く。
何度も何度も空の上で聞いた、僚機がドラゴンに破壊された音。
離れたとこからでも響いて来た音が、自分達の愛機から響く。
戦闘機が致命傷を受けた時の音、戦闘機が壊れる時の悲鳴。
この状況を生んだのは自分達で、愛機を傷付けたのは自分達なのは分かっているが……
『頼む!!着地してくれぇぇぇぇ!!!!!!』
それでも、行かねばならなかったのだ。
暴れ馬のように跳ねる戦闘機、ぶつかった衝撃で戦闘機が回る。
グルグルと滑車のように回り、景色が回り、
『ガガッガァンガガガガガガガガガガガ!!!!!!』
吹き飛んだ戦闘機が再び地面に着き、再び体を削り、
『ガガガガガガガガガガガッガッガッ…ガガ…ガガ…ガガガ…ガガ……』
戦闘機はやっと止まるのであった。




