異世界のアフレクションネクロマンサー424
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『ブルゥゥゥゥ』
(雌雄は決したのか……)
空も陸も、銃声は響かない。
ドラゴン達が必死になって守ろうとした空も、陸も、もう人類の物になった。
ドラゴンに残されたのは、元は人の住む街だったドラゴンの巣。
何と哀れな事か、優れた体を持って聖域を創り出し、この世の全てが自分達の住むかだったはずなのに、今では小さなドラゴンの巣だけが拠り所。
まるで大海に浮かぶ小さな小さな小舟のように、残された物は微々たる物であるが、
(油断するな…真の決着はこれからなんだ……)
周りを大海で囲まれ、小さな小舟の上でしか生きられないとしても、容赦する事は出来無い。
哀れだから、小さな小舟の上で生きるのを許すと驕り高ぶれば、その選択が、いつの日か愚かな選択になる。
(だから…ドラゴンの巣は壊滅させる)
容赦はしない…我々人類の為にも……だけど……
(先生は、何を見ているんだ……)
理屈だけで言えば、ドラゴンの巣を壊滅させれば全てが終わる。
長い長いドラゴンとの争いが終わり、人類の繁栄が約束されるのに、先生はそれだけでは終われないとしている。
(先生……)
話によれば、先生は安全な所から、自分達の勝利を見学するという話だが、それは違う。
(準備をされているんですね……)
先生は、タイミングを計っている。
最後の…先生が、しないといけない最後の戦いの時を待っている。
『見えたぞ!!ドラゴンの巣だ!!』
「行こう!!」
全ての戦闘隊が加速していく、まずは自分達が露払いをする。
ドラゴンの巣に残された、ドラゴン達が空に登る、ドラゴンの巣に残されたグランドラゴン達が地を這う、全てを掛けた総力戦、命を散らしてでも、自分達という種を残す為に命を燃やす……
『なんだこれは……』
まさに最後の決戦、満開に咲いた花が散りいくように、命が散って逝く……のを想像していたが、
「ドラゴンが来ない?」
自分達、戦闘隊は難無く、ドラゴンの巣の上空に来てしまう。




