異世界のアフレクションネクロマンサー423
『良いのか?』
「うん…もう間に合わないと思う……」
ここで、戦闘機から飛び降りて、先生の所に行って何が出来るというのだろうか?
もしも、作戦が始まる前だったら、先生が何をしようとしているのかを、根掘り葉掘り聞いていたかもしれないが、今さら聞いた所でどうにもならない。
先生が、自分達を遠ざけていたのは、きっと未練を断ち切る為。
覚悟を決めて準備をしていたのだ……
「先生は…夢見ていてくれたのかな……平和な世界で、一緒に空を飛ぶ事を……」
『……それに、新しい所で色んな文化に触れて…見聞を広めて……新しい未来を創っただろうな……』
色んな未来…歩むめば手にする事が…見る事が出来る世界があったのに……自分の事だけを考える事が出来て…未来を掴む手も…未来に向かって歩む足をあるというのに……
「みんなの未来を考えて…足を止めて…手を掲げて…見送ろうとしてくれている……全てを引き受けて……」
自分の全てを捨てて……
(先生……)
銃を握り締める手に力を込める…間違っても先生の下に行かないように…先生の覚悟を裏切らないように……先生が、そうしていて欲しいと望んでいるように……
「全機の整備が終了しました!!最後の出撃願います!!」
『行くか…飛び立つ時間だ……』
プロペラが回る。
グルグルと回る。
時計の針も回る。
回る回る運命が回る。
「最後の空へ……」
先生と一緒に空を飛べる、最後の時へと旅立つ。




