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黒い海15
遠い黒い海の底からも、皮膚に密着する黒い海からも、周囲という周囲がすすり泣き嗚咽を漏らし、
(……おっ…うぅっ……うっ………がっ…がぁ………ぐっぐぅ…………)
(………あっ…いっ…がぁ………っぅ………………がっ……ぎぃ……)
(うっ……うぐぅ…………おっ……うぐっ……………………あっあう……)
様々な所から様々な嗚咽が折り重なって聞こえてきているのに、
(((……おっ…うぅっ……うっ………がっ…がぁ………ぐっぐぅ…………………あっ…いっ…がぁ………っぅ………………がっ……ぎぃ……うっ……うぐぅ…………おっ……うぐっ……………………あっあう……)))
それが、たった一つの生命が泣いているようにも聞こえる。
様々な所から泣く無数の者達、自分を取り囲む一つの大きな生命体の泣き声、きっとどちらも正しいのだろうが、分かるのはそこまで。
なぜ、この黒い海が嘆きの泣き声を上げ始めたのか、何を訴え……
(っ……!?)
……その時が来た。
何度も何度も大きな鯉に捕食されかけ、黒い海に何度も何度も溺れる……そんな運命の螺旋から離れ、黒い海のうねりと大きな鯉の開かれた口、二つのタイミングが合わさったその瞬間、全てがゆっくりとなる。




