異世界のアフレクションネクロマンサー416
(このままじゃ、埒が明かない……)
この膠着状態、少なくとも互い同士で崩れるという事は無い、互いに何をしたらいけないのかを分かっているのだから。
互いだけの、一対一の状況ならラブラブなランデブーで、ご機嫌に飛び続けるかもしれないが、
(賭けだな……)
この状況を打破する時間は来る。
(さて…お迎えはどっちが早いかな?)
互いではお見合いで、膠着状態が続くが、そんな俺達を見かねて茶々(ちゃちゃ)を入れに来る者達が来る。
ドラゴンの方なら、先程の命懸けの突撃をしてくる。
こちらの方なら、銃弾の雨が降る。
(さてと…どうなる事やら……)
いつもとは違う道。
目の前に見える道は夕暮れ、決して絶望の闇に閉ざされ、光の希望に満ちた道では無い、それと、いつもみたいに複数の道がある訳でも無い。
『…ふ~ふぅ~ふふ~』
「ご機嫌だね?」
『そうか?』
いつもは道の先を探して、ほんの小さな道すらも見逃さないように、目を見開いているのだが、
『たまには、こういうのも悪くないって思ってな』
今日はお迎えを待つ。
自分で道を切り開き、自分で道を見付ける……自分の実力で不遇を、不運を跳ね返してみせる……運否天賦に任せるのは、生きる事を放棄して、死んでいるのと一緒だと思っていたが、
『お前は、この後どうなると思う?』
「勝つよ」
『だな……』
(それも英雄の素質なのかもな……)
奇跡を待つ…いや、奇跡を待てるというのは、英雄としての豪胆なのかもしれない。
「それにさ」
『それに?』
「みんなもいてくれてるし、君が前を見てくれているから」
『……そっか』
自分の力だけでなく、誰かの力を自分の物にする……そう考えれば、あいつは銃の腕前だけでなく、俺の戦闘機の腕前すら、自分の物にしている事になる……英雄が優れているのは、そういう事なのかもしれない。




