異世界のアフレクションネクロマンサー414
「どうしようか!!」
『どうすっかな!!』
真上を飛ぶドラゴン。
この位置では銃で狙うことは出来無い。
ドラゴンを撃つには、戦闘機の後ろにドラゴンを来させないといけないのだが、
『俺達と一緒にランデブーするってなら、それでも良いけどな!!』
こっちの動きに警戒して、頭上で張り付くように飛んでいる。
さっきの動きでドラゴンは、こちらが一筋縄でいかないと判断し、下手に攻撃を仕掛けて優位な体勢を崩さないように静観している。
これは少々面倒な事になった。
上を取られて困るのは事実だが、彼の実力なら上を取られるというのは、致命的な事では無い。
彼の腕なら、ドラゴンが迫ってきた一瞬の隙を突いて、位置を入れ代わる位の事はしてくれるはずだが、動かない。
『分かってるなコイツ……』
動かないというのは、こちらを見ているという事、上を取った優位だけで舞い上がらない。
操縦桿を握る手が少し迷う。
選択肢として絶対にしてはいけないのは、上昇する事。
無防備な背中を見せながら上昇するのはナンセンス、狩られる。
加速する、減速する……程度では、ぴったりと張り付かれて動きにならない。
だとしたら降下して、後尾を見せる方法もあるが、
(炎の雲の中をか……)
ここで炎の雲が邪魔になる。
いつもなら…先生がやった事があるから出来ると言ってみせるが、嫌な予感がする。
グランドラゴンの件、アーマードの件…それに、この静観が出来る判断力の高いドラゴン……何かおかしい。
操縦桿を前に後ろに、左右どっちかに切れば、その場で動きがあるはずだが、
「静かだね……」
『あぁ…怖いな……』
「えっ…?」
初めて、怖いと言う言葉を口にした。
(……少しは…俺にもあるのかもな)
才能があると言われ、エースパイロットと言われて来たが、それでもエースパイロットとしての枠組を越えられなかった。
何かが足りない…感じ取れ無い……英雄としての素質の無さ。




