異世界のアフレクションネクロマンサー404
(この調子で行けば、日が落ちるまでに辿り着けるか……)
今回の作戦は、森の中の道無き道を行く訳では無い。
ドラゴン達が根城にしているのは、高い山が連なる山奥でなければ、深い深い崖の底でも無い、行こうとしているのは元は人が住んでいた街。
そこまでには道がある。
人が通れるように、物が届けられるように、そして、軍隊が出撃出来るように道が造られている。
周りは森に囲まれて、完全に道が開けている訳では無いが、それでも、道無き森の中を進むのとでは雲泥の差がある。
地上の方の進行は滞りが無い、このままのペースで辿り着く、そして最後には、爆撃された街の中に残るドラゴンを駆逐する……そして、それが終わったら……
「指揮官殿も、少し休息を取られては」
「いや、疲れているのは兵士だけ。陣頭指揮を執る者が立ち止まっては、進行出来なくなる……次の部隊が来るまでが休息さ」
先生から任された指揮官という立場。
それはただ、役職を与えられたわけでは無い。
先生の遺志を継ぎ、願っている事を理解していると信じてくれたからこそ与えられた役職。
(先生…やってみせます……)
あの日、道標の前にいた先生。
軍の行進から抜け出して尋ねに行った、あの日から始まった出会いはこうして、ドラゴンを討つという大きな運命になり、
『『『『『ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!』』』』』
「……君達も頑張れ」
先生によって繋がった者達が空を飛んで行く。
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「銃声が止んだ」
自分達より先に出た陸戦隊の銃声は、空の上にまで聞こえた。
絶え間無く鳴り響く銃声は、陸戦隊が生きている証拠であるが、その銃声が止むという事は、
『作戦は順調という事だな』
「うん、そうだね」
グランドラゴンに殺されたか、グランドラゴンを殺したかの二択なのだが、今は順調に進んでいる事を信じる。
先生はずっと呟かれていた、この作戦が失敗したら人類は滅ぼされると。
何が何でも勝たないといけないと、言っていた。




