異世界のアフレクションネクロマンサー400
「それはそうだよ…だって降りるんでしょ?」
『あぁ…そう言う事か。いや、俺もお前もコイツからは降りねぇぞ』
「えっ?」
『コイツから銃を取り外せば、戦闘機から飛行機に早変わりだ』
戦闘機乗りを引退して鞍替えをするというのなら、新しい飛行機をと思ったが、この複座型は後部に銃を取り付けているだけで脱着が出来る。
「これは国のだよ?本気?」
『声が弾んでるぞ?本気のマジさ、なんせコイツには俺達のエンブレムが描かれているんだ。今さら置いていくなんて出来ないさ。今度の給与の時に二人で要求するぞ』
「給与も飛びそうだ」
『ははっ、そりゃ良い。給与も飛ぶか』
彼が見ている先には、どうやら自分もいるらしく、
『まっ、お客様は、特等席で遊覧をお楽しみ下さい』
「なにさそれ…銃は取り付けないけど、銃は積むよ。護身用に」
『そいつは頼もしい』
開けた道の先を、自分も見る事が出来る。
閉塞した終着地点を飛び越えて、新たな未来へと……
「それだったら」
『それだったら?』
「先生も誘おうよ。先の世界へ」
『そりゃ名案だ』
新たな未来、自分達の進む道を先生にも見て欲しい。
ずっと苦労されていた先生にも、彼の切り開く未来を見せてあげたい……それが、きっと自分達の一番の恩返し。
二人で未来を語り、希望に満ちた時間を過ごしていると、
「陸戦隊から合図が来ました!!出撃願います!!」
誘導員が、格納庫に響くように大声を上げた。
『遂に来たか!!』
「行こう!!」
『バッルルルルルル!!!!』
先程までの談笑は鳴りを潜め、パイロットとして銃手としての姿に変わる。
「我等のエースに祝福あれ!!」
「我々に勝利を!!」
「生きて帰って来いよ!!」
これから出撃する自分達に、格納庫にいた整備士、給仕係等、その場にいた人全員が声援を送ってくれる。
「ありがとう!!みんなにも祝福を!!」
みんなからの祝福を受けながら、祝福を返し、
「隊長方!!一番手願います!!」
誘導員が旗を振る合図に合わせて、滑走路へと向かう。




