異世界のアフレクションネクロマンサー397
手の平で輝く物。
それが咳き込んで、ただただ汚れただけじゃないのは輝きを見れば分かる。
元銃手もまた、手の中で輝く物に言葉を失い、目を丸くしてこちらを見た所で、
「私は恐れていたんだ…我々の下に、救世主が現れたように、ドラゴンの下にも救世主が現れる事を……」
自分の気持ちを吐露していく。
「ドラゴンの救世主…弱き私達の元に現れた、あの子達を見れば一目瞭然。凡人とは一線を引く存在、特別な存在……それが、ドラゴンの中から救世主が生まれれば同じ事が起こる……強大なドラゴンと一線を画く、特別な存在……」
「でも…しかし……救世主とは…その恐ろしいモノを退ける者のはず……ドラゴンの救世主でだって退けてくれる……」
「我々の救世主は、ドラゴンを退ける為に生まれて……ドラゴンの救世主は、我々の救世主を退ける為に産まれるはずだ……」
「しかし…それは…そんなに恐ろしいモノになるのですか?」
「とてもじゃないが、人には勝てないだろう」
強き者を遥かに超える強き者…想像をするのも怖い存在……想像絶する存在を、私はあの日見た。
先生を依り代にして、異世界へと旅立ったドラゴンが、その前に群がって来たドラゴンをあしらっている姿を。
一切相手にならなかった、少しの力でドラゴン達が虫のように消された……あの光景が、人に置き換わったら……
「けれど…それと……先生のそれと何が関係あるのですか?」
今の話では、ドラゴンの救世主が恐ろしいという事を話しただけ、先生が吐き出した輝く物との関係性を説明した事には……
「これを…水に溶かして飲んでいたんだ」
「それを!?」
私は、ポケットから取り出した、削られたドラゴンの秘石を見せると、
「なんて事を!!」
『ガンッ!!』
元銃手は、おもむろに秘石を取り上げて床に叩き付け、
「今すぐ医者の所に行きましょう!!」
私の手を掴むが、
「すまない……」
『パリッ……』
「うっ…!?」
私の体内の中で作られた何かが、元銃手を拒否するのであった。




