異世界のアフレクションネクロマンサー390
「新型の戦闘機…これに君が乗って戦ってくれれば、勝利も目前だ」
自分達の格納庫に配備された、新型の戦闘機に目をやる。
それは、今自分達が使っている戦闘機と姿形は似ているが、差異があるのは複座式ではなく、単座式という事。
操縦席だけで、銃手の席は用意されていない。
これで、どうやって銃を撃つのかという話なのだが、
「プロぺラ同調装置ですね……凄い物です」
機首に銃を内蔵する事によって、パイロット一人で銃を扱えるようにしたのだ。
プロペラの動きに合わせて、弾丸が発射される装置。
理屈だけで言えば、銃の弾丸を、プロペラが無い時に通過させれば、プロペラを破損をさせないで済む。
もちろんそれは理屈の話であり、高速で動くプロペラを、どんな時でも通過するというのは至難の業なのだが、
(異世界の記憶……か)
先生が見付けて来た救世主の中に、特殊な救世主がいた。
銃を触らせ、戦闘機に座らせて、何か思い当たる事が無いかと調査していた際、
「これは…機首に機銃を付けていないのですか?」
一人の人が、戦闘機に対して意見したのだ。
その人は最初、自分が何を口走ったのか戸惑ったらしいが、先生はすぐにその人を連れて、紙とペンを渡して思うがままに書かせると、プロペラ同調装置の図面を書き上げたとの事。
そのお陰で、機首から弾丸を放つことが出来る様になり、機体の中心から弾丸を放つ事で命中率が飛躍的に上がり、現在ではこの戦闘機の量産を主としている。
この新型の戦闘機が大量生産されれば、ドラゴンを駆逐するのも夢じゃないのだが、
「本当に……このワンオフ機を私が使っても?」
「うん、頼むよ」
「俺達には、愛機があるからな」
現状においては、この戦闘機は大量生産出来る代物では無かった。
エンジンの姿形は全て同じではあるが、一つ一つが手作りの為、出力に若干の差異がある。
その為に、エンジン同調装置をただ取り付ければ良いとはいかず、一機づつプロペラに当たらないようにする為の調整が必要になった。




