異世界のアフレクションネクロマンサー385
今回の功労者として、祭りの輪にもう少し混ざっていても良かったのかもしれないが、
「そっちはどうよ?」
「薬室の接続部分が特に怪しいかな。そっちは?」
「最高の状態から比べたら、普通になっちまった」
自分達の物の手入れを優先させる。
「訓練の時は、あんな滅茶苦茶な事はしなかったからなぁ」
初めての実践は、訓練の比で無かった。
戦闘機は、訓練では直線的に飛び、緩やかな旋回と労わるように、パイロットの体に負担が掛からないように飛び、銃の方と言えば、一発一発丹念に弾を込めて、動かない的に百発百中を目指して狙う。
あの時は大変な訓練だと思っていたが、実戦を経てからでは、どちらも余裕があり、どちらもゆったりとして……
「実戦を経験しないと分からない事だらけだ」
「「先生!!」」
整備をしていた所に、先生がやって来た。
「墜落したパイロット達も無事は無事だったんだけど……パラシュートを開いていたのは二人だけ、後の四人は墜落した時に木々がクッションになって助かったんだ」
「そうだったんですか……」
先生は軽い雑談をしながら、自分の銃を見て、彼の戦闘機を見てから、
「損傷は?」
「今すぐ飛び立てと言われれば、もう一回ならいけます」
「自分も同じです」
「うん」
今回の、実際に起きた事を確認しているのだろう。
先生は少しの間、無言で自分達の物を見続けていたが、何かを決心したのか、目配せするように視線を向けて、
「君達に、それらの物に対して愛着が無いのなら、一番最初に新しい物を回す。もしも、これが良いというのなら、最優先で修理、整備をさせる」
「それは……俺達がエースパイロットだからですか?」
「そうだ」
自分達に対しての、今後の扱いに付いての話が始まった。
「今回の戦闘で嫌というほど分からせられた……私の中では、一部の才能のある者に頼らずに、凡人だけで戦えるというのが望ましかったけど……」
「こんな事を言うのは何ですが、先生抜きで、俺達抜きで戦っていたら全滅していましたよ」
「そうだね」
先生の考えている事は分かる、今回の戦いは局地的な前哨戦。
ドラゴンと本格的に戦うとなれば、広域に渡ってあちらこちらで戦う事になる。
そうなれば、自分達が部隊に組み込まれていない部隊も存在する事になる。




