異世界のアフレクションネクロマンサー378
墜落した戦闘機に乗っていた六人…彼等は……
『みんな無事だと良いな……』
「生きてるよ…パラシュートの存在はバレてないから」
墜落した時の最後の命綱。
背中に縫い付けられた、地上に帰る為の道具。
墜落する戦闘機から飛び出して胸の紐を引っ張れば、背中から風を捉える布が飛び出す。
地上の訓練、実際に空から飛び降りる訓練……その時は、みんな無事に訓練を終える事が出来たが、
「自分達も気を引き締めないとだね」
あのグラつきながらも、一直線に地上へと沈んでいく戦闘機から飛び出すというのは……そもそもドラゴンからの強い衝撃を受けて、意識を保っていられるのか……
『そうだな…だけど、今は気を抜こう……その確認は先生がしてくれるみたいだぜ』
気になる事は沢山あるが、その気になる事は先生も同じらしく、地上へと降りていく。
気になる事を見に行った先生の後を追って、一緒に地上へと向かう事も出来たが、それをすればみんなも、我よ我よと付いて着て来るに決まっているし、それをすれば、先生も困ってしまうだろう。
生き残ったみんなを連れて発着場に連れて行くのが、自分達の仕事。
地上に見に行った先生を後にして、スピードを上げずにゆっくりと帰る。
『最高の時間だ……』
「同意するよ……」
戦闘時の目まぐるしい感覚から解放されての、空の旅はとても幸せだ。
大地に足を着けて走るのでは味わえない解放感とスピードで、どこまでも広がる青い世界を飛んで行ける。
地上を見れば、そこが全てかと思っていた世界が小さくなっている。
『……なぁ、戦闘が終わったて事は帰り道は自由なんだよな?』
「…?まぁそうだよね」
今は、いつもの決まったルートでの飛行訓練では無い、戦闘に向かう為の航路でも無い、今は特に何も指定されていない帰り道。
『だったら町の上を通ろうぜ』
「それは…」
『大丈夫だって、先生なら笑ってくれるさ…それに先生だって自由行動をしてる』
帰り道を指定されていないなら、自分達の家族がいる街の上を通っても問題無いはず。
『燃料も心配だ!!行くぞ!!』
「ちょ…あぁ…んっ……」
銃を握るのが自分なら、操縦桿を握るのは彼。
彼が行くと言うのなら、拒否権等無い。




