異世界のアフレクションネクロマンサー373
(そうだ…これは……殺し合いだ……)
落ちて死んでいく戦闘機の為だけに、炎の雲という圧倒的なポジションの中から、飛び出してくるはずがない。
炎の雲を生み出したのは、こちらの銃撃を嫌がったから。
「ありがとう……」
『気にすんな!!』
頭の中をゼロに戻していく。
夕闇の炎の雲、あれは誰の味方であり、誰にでも敵になる闇夜の森じゃない、あれは奴の巣穴。
自分達だけが有利になり、相手だけが不利になる環境……それは、アナグマの巣。
外敵から身を守り……
「考えるな!!」
今までの経験則の中から、答えを導き出そうとしたが、
「あれがアナグマの巣か!?あれが身を待る為の巣か!?」
それを止めさせる。
体の中の力は、ドラゴンに勝つ為に必要な力、協力して貰わなければ勝てない……だから、
「一緒に見てくれ!!今を!!この瞬間を!!」
(…………)
過去の力ではなく、今この瞬間に進化していく力に。
眼前に広がる脅威、炎の雲という圧倒的な空間、それを覆すには……
「うっ…!?」
目が広がる…視界がクッキリとして……一点集中するのとは違う……景色が入り込んで来る。
風景を…景色を……
「……そこか!!」
炎の雲の中、殺意を一滴も溢さない完璧なる巣……しかし、
『ボンッ!!』
『手応えは!?』
「無い!!けれど冷や汗をかいてるさ!!」
その巣穴の弱点は見抜いた。
先程の、ドラゴンを狙えずに指先が動かなかったのが、噓のように動く。
『ボンッ!!ボンッ!!ボンッ!!』
放った四発の弾丸に手応えは感じないが、
「いける!!」
それはこちらの腕が悪い事の証明では無い、難攻不落の炎の雲の牙城を崩している証拠。
炎の雲の中でドラゴンが驚き、慌てふためいているのが見える。




