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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
異世界のアフレクションネクロマンサー
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異世界のアフレクションネクロマンサー371

青かった空が夕闇に染まる。


先生が戦ってはいけないと忠告していた雲が生まれて赤く染まり、視界をくらませ、


「くそっ!!くそっ!!」


先生が、雲の中で戦うなと言った意味が良く分かる。


炎の雲の中に隠れているのは分かっているのに、居場所が分からない。


(これがドラゴンとの戦いなのか!!)


体が叫ぶ。


地上の生き物が、闇夜の森の中に隠れて息を潜めて獲物を狙うように、空の生き物であるドラゴンが、自らの意志で夕闇を創って身を隠し、息を潜めて『多分』こちらを見ている。


(分からない…分からない!!)


森での死闘……それは経験した事がある。


森の静寂の中、強き者が暗闇を味方にして、身から出る殺意を隠して獲物を狩る。


闇が視界を奪い、森が相手の姿を隠す……絶体絶命ともいえる中、それでも生き延びたのは、滲み出る気配を感じたから。


暗闇の中の森と言えど、全てを隠してくれる訳では無い。


気配が…静寂な森の中に相応しくない殺気を感じ取り、そこから相手の気配を読み取って待ち構える。


静かに、強敵が闇夜の森を味方に付けるように、こちらも闇夜の森に紛れて反撃を伺ったが……


(これは…森じゃない!!)


目の前にあるのは炎の雲。


気配が…赤い雲のそれ自体がドラゴンの気配。


隙間が無い。


森の中なら木々の間から、茂みの隙間から漏れ出る気配を感じるのに、


「狙えない…!!狙えない!!」


気配が漏れ出る隙間が一切無い。


銃には弾が装填されている…後はトリガーを引けば良いだけなのに……指が動かない。


トリガーを引けずに、戸惑いながら赤い雲を見つめていると、


『バァガァァァン!!!!』


「なっ!!」


炎の雲の中から、翼の折れた仲間の戦闘機が落ちて来た。

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