異世界のアフレクションネクロマンサー370
「だったら…その目を狙ってやる!!」
致命傷とは違う急所。
片目だけでも潰せば、他の獲物を余裕を無くして、こっちに向かって来る。
『頼むぜ!!』
もちろん、そんな事が出来るのなら、最初から苦労などしないし、最初からそうしている。
ピンポイントで目を狙う……ドラゴンが動きを止めているのならまだしも、互いに動いている状態で狙うというのは、
「…………」
全神経を指先に集中させて、目を極限まで細めても狙いを付けたとしても、当てるには運も絡んで来る。
集中して、息を細くして……自分が日頃行って来た善行を注ぎ込んで……
「……っ炎を吐く!!」
『なに!?』
極限まで、神経を研ぎ澄ましたからこそ、ドラゴンが微笑しているのが見えた。
口角が上がり、唇の隙間から赤い火の粉が舞う。
「まずい!!」
それが想像通りなら、それは決して、させてはいけない。
狙っていた目を逸らして、顎を狙う。
先生が言っていた事。
今回の作戦で決して、自分達がしないと決めた事。
『コォォォォ…………』
それは雲の中では戦わないという事。
ドラゴンは雲の中で戦う事に慣れている……視界を奪われた状況で戦えば、間違い無くこちらが不利になる。
「吐かせない!!」
弾丸を撃ち放ち、ドラゴンが炎を吐くのを阻止しようとしたが、ドラゴンはこちらの狙いに気付いてか、首を少し『ヒョッ』と動かして弾丸を避けて、
『ボォォォォォォォォォォォ!!!!!!』
「しまった!!」
口から炎を吐き出すと、周囲に炎の雲を創り出すのであった。




