異世界のアフレクションネクロマンサー366
ドラゴンは、その大きな翼を羽ばたかせ、自分達の方にぶつかれば良い。
その時体が裂け、血を吹き出そうと関係無い……死に逝く体なのだから。
『破れかぶれってか!?』
一番面倒なやり方。
人間とは違う、強靭な体を持つドラゴンだから出来る芸当。
(これは緊張するな……)
体が強張る……長年狩り続けた獣なら、体格から体の内部を見透かす事など造作も無いし、経験則から似た獣で代用も出来るが、
(トカゲは…撃った事が無いな……)
見た事があるトカゲの大体の大きさは、手の平程度……そんなサイズのトカゲを殺すのに、銃を使う事等無かったから、経験則が存在しない。
見せて貰った資料のドラゴンと、目の前のドラゴンが同い年の事を祈る……そうでなければ骨の太さが違い、心臓の大きさだって違う。
資料だけの情報で撃つ事の怖さ……
(前も…何とかしたもんな……)
初めての熊狩りを思い出して、まるで、生娘になったかのような自分にほくそ笑み、
「やる!!」
『おうっ!!』
最高の一撃を放とうとした瞬間、
『『『ボッボッボッボッボッ!!!!!!!!』』』
「!!」
『!!』
ドラゴンの翼に複数の穴が空く。
風を掴み、空を飛ぶ翼に穴が空いたという事は、空を飛ぶ権利を失ったという事。
権利を失った者は、地上へと連れて行かれる……その運命からは決して逃れられないが、それでも、ドラゴンは最期の道連れの為に、翼を力強く羽ばたかせると、
『ブチブチブチブチブチブチ!!!!!!』
穴が空いた所から翼膜が裂けて、ドラゴンはその場で空に溺れて、身体をあられもなく、くねらせて、そのまま物言わず地上の底へと沈んでいく。




