異世界のアフレクションネクロマンサー356
私も、周りの人達から大切な人物として扱って貰っているが、それはあくまでも戦闘機や銃を発明したという功績があるから。
先生が残してくれた遺産を使い果たした私は、いわば出涸らし、これ以上何かを生み出す事は出来無い。
それに比べて孤児の彼等はこれからなのだ。
実戦経験を積んで誰よりも強くなり、階級を上げ、部下を持って多くのパイロットを輩出する事になる。
彼等はこれからで、
(繋げていく役目を、忘れたつもりは無いけど……)
私はここまで……
私が望めば、教官として街に置いといてくれるだろうし、賢者としていさせてくれるかもしれない……そうすれば、多くの人と繋がって行く事も出来るかもしれないが……
『ドォォォォォォン!!!!!!』
『先生!!』
「行きます!!」
物思いにふけながらも、爆発音が聞こえたのと同時に戦闘機のペダルを踏み込む。
________
『こっちも行くぞ!!』
「分かった!!」
爆弾気球の破裂音。
もう、ドラゴンに対して効果が無いとされた爆弾気球。
地上から空にいるドラゴンに対する攻撃手段として使われたが、今日は違う用途で試されている。
『ドォォォォォォン!!ドォォォォォォン!!』
「三回目!!」
『後二回!!』
今回の作戦、戦闘機だけでドラゴンに近付くのは危険だと先生が言われた。
何故なら、ドラゴン達は常日頃から空で争っているから、空から遠目でも我々の姿を見付ければ、ドラゴンと誤認して、臨戦態勢になるかもしれないと。
それならば、厚い雲が出ている時に姿を隠してはどうかと提案したが、
「いや、雲の中の戦いは我々が経験していなくて、ドラゴンが経験している事だから、下手をしたら我々が一方的に殺されるかもしれない……それに、ドラゴンは雲の中でも、我々の使っている秘石に反応して場所を見付けるかもしれないから、基本的には雲の無い日に戦う事を想定したい」
さすが先生、ドラゴンスレイヤーを名乗られていないが、誰もがドラゴンスレイヤーとして認めるだけの博識を持ち合わせている。
エースパイロットの座は自分達が貰い、先生の真後ろに付くという名誉を与えられているが、
『エースパイロット……悪くは無いけどよ、欲しいよなドラゴンスレイヤーの名を!!』
頂点の、名誉あるドラゴンスレイヤーという名を有しているのは先生だけ。




