異世界のアフレクションネクロマンサー347
確かに味気無いと言われてしまえば、それまでだが、
「しかし、このサンドパンはあくまでも戦闘機の中で食べる物です。あの限られた空間の中では」
「その通りだ。君達が作ったサンドパンは、あの限られた空間でも、食事が出来るという配慮から作られた、想いの籠った食事だ…戦闘機の中でなら、贅沢な食べ物だが……」
あの狭い戦闘機の中でも、腹を満たし、力を付けて貰おうとして出来た物、それを否定されるのは納得出来無かったが、
「…まさか!?」
「そうだ。他の者達は、サンドパンという食べ物によって、時間の効率化というものに目が眩んでしまっている」
そんな気持ちとは裏腹に、軍の方では限られた空間でも満足する食事をして欲しいという想いを、利用しよとしているらしい。
王様は銃を置き、次にバスケットの中に入っているサンドパンを手にして口に入れると、
「うむ…美味い!!食材のハーモニーが完璧だ……これが最初から料理として存在していれば、話は違ったのかもしれないが……」
サンドパンを美味しいと良いながら頬張って食べる姿に嘘偽りは無い、サンドパンという物を王様は否定しているのではなく、良い物だとは認めてくれている……しかし、問題なのは、
「戦場で食事をする時間というのは、ほんの少しの間だけ戻るという事だと思っている。家にいて、家族と一緒に、友と一緒に、生活をしている時間に……兵士としての時間から、人として戻れる唯一の時間に、争いが忍び寄って来ていると思うと怖くて堪らないのだよ」
争いが、我々の側に寄って来ている事。
王様は、格納されている戦闘機を眺め、
「いつか…国というのが人が住む所では無くなり、戦争をする為の機関になってしまうかもしれない……そして、この戦闘時と銃……それらが、その未来に引きずり堕とす……それを君も危惧しているのだろ?」
どこか遠い未来を見ている
それはまるで、先生のように遠くを見据える眼、私は何かを言う前に深々と頭を下げ、
「……感服でございます」
先生が異世界の賢者ならば、王様は、この世界の賢者なのだと思い知らされる。




