異世界のアフレクションネクロマンサー344
「やってくれたな!!パイロット候補生になったんなら先に言えよ!!」
「痛い痛い!!」
彼は喜びを表す為に、自分の胸を叩いたように、背中を叩いて来る。
バシバシと背中を叩れてはサンドパンを食べられず、叩いて来る手を払うと、
「たくっ!!辛気臭い雰囲気して机に突っ伏してないで、喜べよ!!」
バスケットの中から、今度はキャラメルを出すと、一つをこっちに投げ渡して、一つは自分の口に放り込む。
「先生も人が悪いぜ。町から届けさせた部品で、お前用に一機新調したって事だろ?やっぱやる事が違う人だよな」
先程までの悪態等なんのその手の平を返して、先生を褒めちぎる。
元気良く、機嫌がコロコロと変わる彼と会話をしながら、
(サンドパンか……)
手に持つサンドパンに視線を落とした。
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今朝の事を思い出す。
孤児の子に銃を扱って貰い、銃は子供でも扱え、絶大な力を発揮するという事を伝えたかったのだが、
「まさか、これがここまで出来るなんて……」
あの子の手慣れた手付き……銃を極めれば、鎧を着た兵士等、敵では無いという事を実演してくれ。
銃を一つ取り、壁を相手にして、あの子のようにボルトを素早く操作してみるが、『ガチャガチャ』とぎこちない音が鳴って銃先がぶれ、狙いがずれる。
「…………」
自分でも練習して、取り扱えるようになった、自分を基準に考えていたが……
「先生が、教えるのを拒んだのも、よく分かります」
想像していた以上の、潜在能力を秘めている。
手にした銃を元の位置に戻し、先生が遺してくれた手紙を机に広げる。
それは、先生が残した、この世界の時計の針を急激に進める禁断の書、ボルトアクションライフルの設計図。
先生が残した手紙には……
「今、大丈夫かね?」
「王様…はい、どうなさいましたか」
先生が残した手紙を読もうとした所で、王様が来訪するのであった。




