異世界のアフレクションネクロマンサー343
持って来たバスケットを机に置き、中をごそごそと触ると中から銀の水筒と、
「それは?」
「サンドパンだってよ。キャラメルじゃあ力が入らないから何とかしてくれって人がいて、パンに具材を挟み込んだんだ」
渡されたサンドパン。
トマトやハムにチーズをパンとパンで挟み込んだそのままの名前に、
「ははっ、そのまんまだ」
笑いながらかぶりつくと、チーズとハムの塩気とコクが口の中に満足感を与え、トマトの水気がパンに吸われて、ふやけて食べやすく、そこに水筒の甘い紅茶を流し込めば、
「これは、すぐにお腹一杯になっちゃいそうだね」
「これでも、足りないくらいさ」
栄養補給抜群の食事だ。
疲れを癒す、サンドパンを頬張りながら、
「今日さ、戦闘機の搬入は無かったんだ」
「はっ!?だって教官は!!」
「今後は、この街で戦闘機を造るらしいよ」
「そっか……」
今日の事を話すと、彼の表情が曇った。
彼は、自分がパイロット候補生になったと信じてくれていた、だからこそ、このパイロット候補生に渡される食事を祝いとして、食堂の人にお願いして、持って来てくれたのだろう。
「それで…先生は何を搬入させてたんだ?町に残っていた戦闘機のパーツでも運び込んでたのか?だったら、もう一機位造ってくれたって良いのに」
彼は、つまんなそうにサンドパンを口に放り込んで、紅茶でお腹の中に流し込むと、バスケットから二つ目のサンドパンを取り出して、
「先生も見る目ねぇよな?戦いで物を言うのが根性とか執念とか分かってねぇんだよ。本番になれば気持ち悪いとか言わねぇつぅの」
ぷんぷんと憤慨しながらかぶりつく。
カジカジとパンを食べる彼に習うように、自分も、一つ目のサンドパンを食べ終わって、二個目のサンドパンを取り出して、噛り付き、
「戦闘機は搬入されなかったんだけど、戦闘機には乗れるようになったんだ」
「……!!」
自分も戦闘機に乗れるようになった事を伝えると、サンドパンが喉に詰まってドンドンと胸を叩きながら、紅茶をゴクゴクと飲み干すと、
「そういうのは最初に言えって!!」
喉につかえっていたサンドパンが取れると、彼はニコニコして笑う。




