異世界のアフレクションネクロマンサー342
「ちょっ…!?ちょっと待ちなさい!!」
『パァン!!パァン!!パァン!!』
まだ教えていないはずの、異世界の武器である銃を、手慣れた手付きで扱う。
それは、私が練習した時以上の、流れる無駄の無い動作。
あまりの手練れた挙動に、手を出して止める事も出来ず、
『ガィン!!ガィン!!ガィン!!』
鎧の右手が吹き飛ばされて、左肩が弾かれ、胸を撃ち抜かれ、
『パァギィン!!』
銃から最後の音が響いた時には、鎧の頭が吹き飛んだ。
それは瞬く間の出来事。
もっとこう……銃を扱うのに不慣れで慌てふためき、それでも何とか撃って、鎧のお腹に風穴を開けてくれるだけで良かったのだが、
「「「…………」」」
あまりの衝撃的な光景に、誰も声を出せない。
自分が練習した時よりも、簡単に鎧が壊された。
兵士達の体を守る鎧が、虫に喰い散らかされたパンのように穴を開けて。
将軍達が、目の前の出来事に驚愕して目を丸くする中、
「…………」
王様も同じように黙っていたのだが、王様の目だけは、鋭い目付きで銃を睨んでいた。
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「銃か……」
太陽が空から落ちて、オレンジ色の光が世界を包むと、今日という日が終わる事を告げる。
自室の椅子に腰掛けて、机に体を預けながら、手に残る弾丸を撃った時の衝撃を思い出すと、今日の出来事が蘇る。
今日、先生が自分を呼んだのは、あの銃という強力無比な武器を際立たせる為に、子供である自分を呼んだらしく、新型の戦闘機というのは存在しなかった。
それともう一つ、話では戦闘機が納品されるという話であったが、実際は銃の納品という事で、戦闘機に付いては今後、順次造られていくという事。
結局、自分のパイロット候補生になりたいという願いは……
『トントン』
「……鍵なら開いてるよ」
「よっ、どうだったよ?」
バスケット片手に、同期の彼が入って来るのであった。




