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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
異世界のアフレクションネクロマンサー
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異世界のアフレクションネクロマンサー341

先生の声よりも、聞きたい声がある。


自分が知らなかった身体の声。


身体が小刻みに震えて泣いている。


何をそんなに泣いているのか、心を傾けてみると。


今生の別れを告げ、死に別れたと思っていた友に、再び会えたかのように震えて、失っていた身体の一部が戻って来たかのように泣いている。


自分の知らない物を、身体は覚えていた。


自分という存在と、身体の意識が混ざり合って、


(また触れるなんてな…見せてやろう銃の使い方というやつを……)


身体が主導権を握る。


右手で『弾丸』が詰められている箱に手を伸ばし『弾丸』の作りを手に感じてみると、


(……この『銃』もそうだが、この『弾丸』も良い物だ)


弓しか無かった世界に突然現れた『銃』は、発展途中では無く完成品。


発展、改良という意味では手を付け加える事はあるだろうが、これは一つの『種』として存在出来る。


これ程までに、身体に馴染む物なら、


「百発百中だ……」


動かない的、近い距離……風も重力も、弾丸の軌道も何も考えないで済む……唯一考える事は、


「まずは手だ」


『パァン!!』


どうやって実力を見せつけるかだけ。


弾丸が鎧の手を撃ち抜くよりも早く、ボルトを手にしてスライドさせて薬室を空けると、弾薬が排莢はいきょうされて飛び出す。


(素晴らしい……)


触れた時から、この完成度には驚いたが、実際に思った通りの挙動する銃に感動を覚える。


ただ、自分の中の感覚と、少し違う所を上げれば、鼻に香る弾丸の匂いが、火薬の燃える独特の煙の匂いでは無く、花のように甘く香る匂いが鼻の中をくすぐる事だが、


「…悪くない」


この世界の流儀に従う。


贅沢を言えば、火薬の焦げる匂いを嗅ぎたい所だが、これだけの『銃』をさわれるのに、そこまで文句を付けるのは下品というもの。


空になった薬室に、弾丸を滑り込ませて薬室を閉めた時には、


『ガィン!!』


放った弾丸が、鎧の手を吹き飛ばす。

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