異世界のアフレクションネクロマンサー338
白を基調にした服に、いくつもの勲章が散りばめられていて、例え目の前の王様を知らない人でも、すぐに重要な人物だと分かるいでだち。
そして、その側に立つのは、王様よりも勲章の数が少しばかり少ない将軍と側近、戦闘時に身に着用する軽装服を着た複数人の兵士。
それだけなら、王様が新型の戦闘機の視察に来たと思っただけであろうが、
「ありがとうございます。準備は終わったのですね」
「はい、準備万端です。先生が最後の確認をして頂ければ」
物々しい人物の中に、質素な洋服で浮いている先生がいるという不思議な光景を目の当たりにする。
こんな事を言うのは失礼だが、その服装はあまりにも場違いで、あからさまな異物感を覚えるが、
「分かりました。行ってもよろしいでしょうか?」
「うむ、頼む」
狼の群れの王様は、他の者を通す事無く、群れの中に混ざっている羊に頼み事をして、お願い事をされた先生は、狼の群れから離れ、工房の人達が準備した物の方へと向かう。
(先生も…元は臣下の方だったのかな?)
先生の話を聞く限りでは、先生は村の出身のような事を言っていたが、それが本当の話なら、王様と直接会話をするのは、身分に違いがあり過ぎて難しく、
「みな、ご苦労であった。一度は、こちらの願いで町に下ったのに、よく戻って来てくれた」
「滅相もございません!!我が国の為なら、どこにでも向かう所存であります!!」
「うむ。その忠義、心に沁みるものである」
工房の人達のように国に尽くしている者か、国に尽くして隠居をされたと考えるのが自然。
先生が一体どんな人物なのかと気にしながら、王様からお褒めの言葉を受けて恐縮している工房の人達を横目に見ていると、
「所で…その子は孤児の子じゃないのかね?奉仕活動はどうしたんだい?」
「えっ?」
王様の目に、自分が捕まっていた。
自分目線では気付かなかったが、自分だって孤児の子だとすぐに分かるように制服を着ていて、本来なら街奉仕活動をしている時間に、新型の戦闘機のお披露目の場に孤児がいたら、それは立派な違和感になる。




