異世界のアフレクションネクロマンサー337
「……分かりました」
気持ちとしては、今すぐにでもと思っているが、先生に呼ばれて来ているのだから、先生と一緒にというのが一番良いに決まっている。
はやる気を抑えるために、工房の人達の作業を見て気を紛らわせようとすると、
(あれは、何だろう?)
箱から次々と出される、見慣れない物に気がそぞろになる。
それは槍のように細いのだが、先には刃物が付いていない細長い棒。
(戦闘機のパーツ……?あれが酔わないようにする秘策と関係があるのかな?)
先生が用意させた物なのだから、戦闘機と何か関係あるのだろうとは思うのだが、
(何で鎧を用意しているんだろう?)
戦闘機とは無関係な鎧が、次々と並べていく。
(こんな所で剣の打ち込み練習?)
鎧を並べてやる事と言えば、打ち込み練習。
戦闘機に乗って飛行するのは非常に疲れるので、体力の消耗を少しでも抑える為に訓練させるというのなら、そうなのだろうが、鍛錬所でも良い話。
何だろうと思いながら、何でだろうと思っている間に、工房の人達は細長い棒を鎧と向き合うようにして、距離を空けて設置していく。
まるで、何かの儀式かのような風景に、あっけに取られていると、
「なるほど…話に聞けば理解は出来るが、実際に見てみないとだ」
昔に、聞いた事のある声が聞こえる。
この声が、誰の声だったか頭の中にある人物と照らし合わせて思い出そうとしたが、
「おい!!全員作業を止めろ!!整列だ……!!お前もこっちに来い!!」
工房の人達が、テキパキとしていた動きを崩して、あたふたして整列していく中で、腕を掴まれて列の中に連れ込まれる中で首を少しだけ傾けて、目を端に寄せると、
「王様……」
目の端に映ったのは、孤児になった時に激励をしてくれた王様の姿がそこにあった。




