異世界のアフレクションネクロマンサー326
「試させても貰っても?」
「お願いします!!」
彼の持ってくる薬は、とても素晴らしかった。
この戦闘機に乗って気持ち悪くなったからこそ、自らの体験談と言葉で医師に相談して効果の高い薬を持って来てくれる。
「へぇ、これは……」
彼から受け取ったのは飴玉。
「なるほど。飴玉にする事で、口や喉に張り付くのを防いでいるのか」
今までは粉末状の薬で、気持ち悪さを取る為に効力を強めるのは良いのだが、その分刺激が強くなってしまい、人によっては口に入れるのすら憚ってしまう程であったが、
「……これは凄く良い。この味で、今までより効力が高いんだね?」
「はい!!医者と相談して、効力高めるだけでなく、どう飲みやすくするかというのも、考えてみたのです」
はちみつを混ぜ合わせて飴玉にしているらしく、薬独特の苦みと刺激が緩和されていて、これなら、今まで作った薬なら、問題無く飲めるようになるはず。
「これは、君じゃなければ作れなった物だよ」
「いえ、作ってくれたのは医者の方々です」
「そうか…だとしたら君達がだね」
私は、机の上に置かれた大量の紙から一枚取って、そこに一筆とサインを書いてから、
「さぁ、これを」
今回掛かった費用の支払い願い届けを書いた紙を渡す。
これは自費では無い、王から直々に、戦闘機を作る以外の費用も全額賄うと言われ、必要とあれば、この紙で好きなように請求書を作ってくれてと言われている。
「ありがとうございます」
彼は、私に渡された請求書を大切にしまう。
最初の頃は、彼が持って来てくれる薬を、面白い物だと思って貰っていたが、
「……先生、私はパイロットになりたいです」
「うん、そうだよね」
彼は身銭を切っていた……それも孤児である貴重な身銭を。




