表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
異世界のアフレクションネクロマンサー
866/1400

異世界のアフレクションネクロマンサー314

私の言葉に、そこにいるみんなが目を輝かせて、一体どのような方法で自分達を導いてくれるのかと、期待の眼差しを向けて来るが、


「……村に戻る」


「えっ…?それでは彼等は?」


私の言葉に、期待の眼差しで輝いていた瞳が、再び曇る。


分かっている、彼等が期待していたのは、この状況を一変させる魔法のような出来事。


今苦しんでいる仲間達を助けて、今すぐドラゴンを始末する方法を望んでいるのを。


しかし、現実はそんなに甘くない。


「残念だけど、ここではどうしようも出来無い……彼等を犠牲にして帰るんだ」


「そんな……」


「私達は、自分に出来る事をしないといけない……辛い話だが、その出来る事の中に、彼等を救うという行いは無い」


ここで、仲間を助けるために戦場に行けば、間違い無く皆殺しにされるだけで、ただただ、戦場で転がる消し炭を増やすだけ。


「それは…けれど……」


兵士達も、目の前で行われている惨劇に混ざれば必ず死ぬと分かっていて、その行いが無意味だというのは肌で感じているが、仲間を見捨てるという罪悪感が、その場から逃すまいと足を止めさせる。


いっその事、このまま判断を下すのが遅れて、ドラゴン達に襲われて逃げ惑い、命からがら逃げられれば、心も救われるというものだが、


「仲間を見捨てるという判断をするのは、心苦しいでしょう。だから、私の判断に従って下さい。あなた達が仲間を見捨てたのではなく。この私が見捨てたのです」


「それでは先生が……」


「押し問答は無しです。行きますよ」


これもまた、折れぬ心に毅然とした振る舞い。


仲間が犠牲になっているのを見て、動揺して不安な気持ちになって心を殺されないように、仲間を犠牲にするのは生き残る為と、覚悟する折れぬ心。


犠牲になっている仲間を助けないとっと同情して、あたふたと慌てふためかないで、す事をすという毅然とした態度。


戦場に背中を向け、悲鳴と命乞いの泣き声を聞こえるのを無視して先陣を歩けば、


「……行こう」


絶望に包まれて、身動きの出来なくなった彼等に、一歩前へと足を出す力を与える事になる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ