異世界のアフレクションネクロマンサー313
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辿り着いた戦場。
そこでは敵も味方も無く、人がドラゴンによって蹂躙されていく。
抵抗という抵抗も出来ずに、神でも何でもない存在に、同じ生き物に命乞いする様は、生き物としての差を痛烈に感じさせる。
「これでは、我々は……ドラゴンに皆殺しにされてしまいます」
圧倒的で、一方的な狩りに、兵士は絶望の色を隠し切れないでいる。
獄炎の炎に包まれたドラゴンが、地を這う虫けらに炎を浴びせて、次々と駆除していく。
それはまさに神の所業、この世界に誤って産み出した人間を始末するかのような行い。
この状況をまともな人間が見れば絶望しか覚えず、滅びの運命を受け入れるか、何とか生き延びようと逃げ回る事だけを考えるかもしれないが、
「ふざけるな!!神等いない!!いるのは生き物だけだ!!全ての生き物達が、生きて繁栄する為に争って必死になっている……それを……それを神に愛された者がいて…愛された者だけが繁栄を許され、愛されなかった者は蹂躙されるだけの存在等と誰が認めるものか!!」」
それを、私は良しとしない。
私は知っている、真に神に選ばれた存在というのがどんな存在なのかと。
炎を浴びて、燃え盛るドラゴンはまさに神に遣いそのものに見えるが、それはあくまでも見えるだけ。
どれだけ炎を浴びようと、光り輝く恒星のような美しさには及ばない。
確かに、獄炎に燃え盛るドラゴンには恐怖を覚えるが、それは光り輝く選ばれしドラゴンの姿に近付こうとする偽物。
厳かで、格式の違いから息が詰まって畏怖を覚えるそれとは違う。
違うからこそ、
「恐れないで!!この私がいる限り、人類をやらせたりしない!!」
「せ…先生!!」
「希望があるのですか!?」
毅然と振る舞い、決して折れぬ心を見せれば、みんなの心に過った絶望を払拭する事が出来る。




