異世界のアフレクションネクロマンサー310
「その服から推測して…戦争があるのかい?」
「はい…先生は、あまりこういう話はお好きでは無いでしょうが……」
人間同士の争い……ドラゴンがいる事で使えなかったルート、ドラゴンがいる事で侵攻出来なかった国が今まであったが、ドラゴンを無力化したと思った者達によって大規模で、遠征しての戦争が始まろうとしている。
「その道中で、私に会いに来てくれたんですね」
「本当でしたら、先生に会うだけで来たかったのですが、あれ以来、戦争の準備が活発になって、情報が漏れないように、王都から出るのは厳しくなりまして」
それもその筈、私が造った爆弾気球が、他の国でも即座に量産されたのだが、それが意味するのは、国内にスパイがいるという事。
どんな話で、どんな方法で爆弾気球の情報が流れたのかは分からないが、国内にスパイがいるとすれば、戦争の情報を厳密にしようとするのは、当たり前の話。
私一人に会いに行くと言ったとしても、戦争をするというピリピリした時期では許されないのも頷けるものであり、こうして行進中に会いに来るのも一苦労であったであろう。
「ここまで、来るのに大変だったでしょう」
「いえ、そんな事はございません」
そこまでして、自分に会いに来てくれた事に、心から敬意を示しながらも、
「ちなみに何ですが……戦争に、私も付いて行って平気でしょうか?」
「先生がですか?」
今回の戦争が侵攻なのか、防衛なのかは分からないが、付いて行きたいと思った。
「先生が付いて行きたいとおっしゃるなら、何とでもしますが……」
私の発言に、兵士は目を丸くする。
この世界では、ドラゴンがいるせいで大規模な戦争は出来ず、兵士の数もそこまで必要としないので、村の人間が戦争に駆り出されるという事が無い……と言えば聞こえは良いが、村に住んでいる程度の身分では、兵士という役職に付けない所か、戦場にすら行けないというのが真実。
戦争というのは、国の威信と存続を掛けた戦い。
それは名誉と栄光、戦争に勝った時の報酬も約束される行い。
兵士に雑兵という物は存在せず、高貴な役職として存在し、戦争というのは身分を高める一大イベントでもあり、そんな所に村の人間を連れて行くというのは御法度。




