異世界のアフレクションネクロマンサー307
『私という小さな人間が、異世界で不自由無く生きられたのは、君と繋がる事が出来たからだよ』
「私だって一緒です…先生と会えたから……私の人生は変わる事が出来たんです……」
繋がる事の大切さは、先生から教えて貰った……この繋がりを、このまま断ち切るにはあまりにも急過ぎて……
『消えないよ。私と君の繋がりは』
「先生……」
『少しだけ離れるだけさ。私は、新たな世界で繋がりを創り、君もまた、この世界で新たな繋がりを創る……そして、私が創った繋がりと君が創った繋がりが、いつか交わる』
先生の言葉に、床を踏み抜く程に押し込んでいたペダルが緩まり、
『ありがとう…君を信じている。君が信じてくれる思いに恥じない、繋がりを創ってみせる』
『ガランガラン』と鳴っていたエンジンが『カランカラン』と鼓動を落ち着かせていく。
静かになっていくエンジンの音に耳を澄ませ、遠く離れて逝く先生を追うのを止める。
先生と私は、もう二度と会えないだろう。
けれど、それを悲しんではいけない。
ずっと先の未来で、移り変わった世界で、私達が繋げた者が繋がる……
とても…とても長い、さよならになるが……
『また、いつか……』
「会いましょう……」
この世界で新たな繋がりを創る決意をして、先生を見送る覚悟を決めると、
『キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!』
先生は、白銀のドラゴンとして、幾重の虹のように輝く光の輪を創り出しながら天空を目指す。
先生は、私とのさよならの為に、時間を割いてくれていた。
お互いに納得して悲しむ事無く、後ろ髪を引かれる事無く、別れる為の時間を。
『キィィィィィィィィィパッツッッッッァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
高鳴る先生の翼は、遂に世界の壁を突き破ると、異世界へと旅立つのであった。




